1999年6月に公布・施行された「男女共同参画社会基本法」は、男女共同参画社会の実現を21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置づけ、社会のあらゆる分野において男女共同参画社会の形成を促進するための施策を推進することを提言している。また、同法に基づき2005年12月に閣議決定された「男女共同参画基本計画(第2次)」は、性別に基づく固定的な役割分担意識にとらわれず、人権尊重を基盤にした男女平等観の形成を促進するため、学校、家庭、地域、職場など社会のあらゆる分野において、相互の連携を図りつつ、男女平等を推進する教育・学習を充実することを強調している。
この「男女共同参画社会」とは、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」のことである。
こうした社会を築くにあたって今日要請されるのは、一人ひとりの多様性を尊重し得る柔軟な思考であることはいうまでもない。元来多様な存在である人間は、特定の区別によって固定的に分類されるものではない。多様な分け方があるなかで男女の別を強調することは、一人ひとりの個性を見えにくくし、男女の格差を再生産することにつながる。したがって、今日とくに求められているのは、ことさら男女を区分したり性別役割を固定したりせず、人間一人ひとりの多様性を尊重することである。
我が国の教員養成の基幹大学たる東京学芸大学は、「人権を尊重し、全ての人々が共生する社会の建設と世界平和の実現に寄与するため、高い知識と教養を備えた創造力と実践力に富む有為の教育者を養成する」ことを目的として掲げている。
このことに鑑み、東京学芸大学は、男女共同参画社会基本法と男女共同参画基本計画の精神を積極的に受け止め、男女共同参画社会の建設に寄与したい。そして、学生をはじめとする本学関係者が、社会のさまざまな分野において、男女共同参画社会の推進者として活躍することをめざすものである。
教員養成の基幹大学としての役割をふまえ、男女共同参画社会の実現をめざし、率先して社会に働きかけていく。
教育と研究の両面において、男女共同参画を推進する環境を整え、ジェンダーの視点を踏まえた教育・研究を推進する。
大学運営の全ての領域において、男女共同参画を阻害する要因を除去し、男女に均等な機会を保障するように努める。
男女共同参画の精神に基づき、子育てを含む生活全般が仕事や修学と両立するように努める。