武道
武道とは、伝統的な日本武術から発展したもので、人を殺傷・制圧する技術に、その技を磨く稽古を通じて人格の完成をめざす、といった道の面が加わったものである。
皆が平和に暮らせるように、より良い人間形成を目指す。

武技・武術
剣・弓・馬・槍など、武士として戦うのに必要な技術。武芸。武技。

自由練習
乱取りのこと。お互い自由に技の攻防を行い、技能を向上させるための練習。学校用語として自由練習という

連絡技
二つ以上の技(投げ技や固め技)を連続してかける技。

一本
勝負あり。勝敗が決まること。
ルールでの一本は、
投げ技の場合、試合者の一方が、相手を制しながら背を大きく畳につくように相当な強さと速さをもって投げた場合、固め技の場合「抑え込み」の宣告から、抑えられている者が技を外せず25秒経過したとき、相手の「参った」があったときなどを表す。

進退動作
すり足で前後左右斜めに移動する動作。つぎ足とあゆみ足がある。

崩し
技をかけるために、押したり引いたりして相手の体勢を不安定な状態に崩すこと。
八方の崩しを説明することが多い。

体さばき
技を仕掛ける場合に前後左右に自ら移動することで、相手を崩し優位な体勢をとること。また、相手の技をかわし、自分自身の安定を保つ時にも体さばきをする。

自然体
自然体とは体の力を抜き、自然な状態で立っていること。足の幅は約一足長(自分の足
の長さ)で、八の字に足を開く。自然体には3つの種類がある。
@ 自然本体→自然に前を向いて真っすぐ立った状態
A 右自然体→自然本体から右足が一歩前に出ている状態
B 左自然体→自然本体から左足が一歩前に出ている状態
自然体のほかにも柔道における体勢には自護体、中腰体がある。自護体とは足を肩幅より少し開き膝を曲げ上体をおろした体勢である。防御に強いが変化に乏しい。中腰体は片方の膝を地面についた状態である。固の形(固め技の形)、背負い落し等で用いる重要な体勢である。

すり足
すり足とは、試合や乱取で移動するときの歩き方であり、足裏を畳にするようにして歩くことである。一方の足に体重がかかると、相手にバランスを崩されやすくなるため、畳から大きく足を上げないようにする。柔道の基本的な歩き方(進退動作)には、すり足の他に歩み足、継ぎ足などがあるが、両方ともすり足で行う。

歩み足
歩み足とは、歩行と同様に右足と左足を交互に出して、前後に歩くこと。

継ぎ足
継ぎ足とは、一方の足を動かしたら他の足をすぐこれに継いで運ぶようにする移動の仕方のこと。右足を先に出したら、その後に左足が右足を追い越さないように足を継いで移動すること。

投げ技
大きく分け「立ち技」「捨て身技」の総称を投げ技という。
「立ち技」には、手技・腰技・足技があり、「捨て身技」には、真捨て身技・横捨て身技がある。いずれも、手、腰、足を全て使うが、その動きの中心となる部位の名称を用いて分類されている。

固め技
大きく分け「抑え技」「絞め技」「関節技」の総称を固め技という。
相手を抑え込んだり、絞めたり、または肘関節を捻ったり、反対に伸ばしたりして、相手の自由を封じる技のこと。

膝車
投げ技の中の足技の一つ。相手の右膝頭を自分の左足裏で支え、そこを支点にして上体を引いて投げる技のこと。

支え釣り込み足
投げ技の中の足技の一つ。相手を前すみに崩しながら、左足裏を相手の右足首の前に当てて、そこを支点にして前方へ回転させて投げる技のこと。


大外刈り
投げ技の中の足技の一つ。相手を真後ろ又は右後ろすみへ崩し、右脚で相手の体重がのっている右脚を、刈って後方へ倒す技、及びこれに類する技のこと。

小内刈り
投げ技の中の足技の一つ。相手の右かかとの後ろを内側から、右足裏で刈って後方へ倒す技、及びこれに類する技のこと。

大内刈り
投げ技の中の足技の一つ。前さばきで相手の懐に入り、真後ろまたは左後ろ隅にくずし、内側から相手の左足を自分の右足で刈る。

体落とし
投げ技の中の手技の一つ。後ろ回りさばきで相手を右前隅にくずし、右足を踏み出して相手の出足(右足)を止め、引き手と釣り手をきかせて前方または斜め横に投げる。

大腰(おおごし)
投げ技の中の腰技の一つ。右前回りさばきをしながら、引き手で相手を前隅にくずし、右釣り手を襟からはずして相手の左脇の下から腕を腰にまわして自分の腰に相手の前腰を乗せるようにして投げる。

抑え技
固め技の一つ。抑え込み技ともいう。
相手を仰向けに倒し、上から押さえつけて動きを封じる技の総称。袈裟固め、上四方固め、横四方固めなどがある。20秒で技あり、25秒で一本になる。

抑え込みの条件
脚や胴を相手の両脚に絡まれずに、相手を大体仰向けにし、相手の上で概ね向かい合った形になって、相手が起き上がることができないようにすること。

かかり練習
打ち込みともいう。技の形を反復練習して習得しようとする技術練習のこと。投げ技においては投げる直前まで、固め技においては抑える・絞める・関節を取るまでの過程を繰り返して練習する。ウォーミングアップとしても行われることが多い。

約束練習
二人一組で事前にやる技を決めて、投げたり投げられたりする練習。攻守をきめ、交代して行う。

袈裟(けさ)固め
固め技の中の抑え技の一つ。
相手の右脇に自分の右脇腹をつけ、相手の首または左脇に右腕を差し入れて抑え、左腕で相手の腕を自分の左脇に抱えて抑える技。

横四方固め
固め技の中の抑え技の一つ。
仰向けになった相手に体側から被いかぶさり、胸と頭で相手の胴体を上から抑え、相手の首の下に差し込んだ腕で相手の首を制し、もう一方の腕で相手の太股あたりのズボンまたは、股の部分のズボンを抱え込む固め技のこと。

上四方固め
固め技の中の抑え技の一つ。
仰向けになった相手に頭側から被いかぶさり、自分の頭が相手の下腹部あたりにつくような形になり、自分の両腕は相手の腕の下を通って帯を取り、抑え込む固め技のこと。

禁じ技 =禁止技(きんしわざ)
競技会で使用が禁止されている技で使用すると重大な障害,相手の内臓破裂や死亡などを引き起こす可能性があるため、安全上の理由から禁止されている。現在国際柔道連盟は、足緘(あしがらみ)(固・関節技)、胴絞(どうじめ)(固・絞技)、蟹挟(かにばさみ)(投・横捨身技)、河津掛(かわづか け)(投・横捨身技)の4本を禁止技としている。

伝統的な行動の仕方
単に勝敗の結果を目指すだけでなく、技能の習得などを通して人間としての望ましい自己の形成を重視するという武道の伝統的な考え方。また、その考えに基づく行動の仕方のこと。特に、相手を尊重するなど礼儀作法を重視するとともに、勝敗に対しては公正な態度で練習や試合ができることなどが求められる。

蟹鋏(かみばさみ) (禁止技の一つである)
横捨身技の一つ。横一直線になった状態で、飛び上がりながら脚を相手の大腿部に当て、もう一つの脚を下腿裏にあて、両脚で相手を挟みながら体を捨て、相手を後方に投げる技である。

河津掛(かわずがけ) (禁止技の一つである)
横捨身技の一つ。大内刈りのような形から自分の脚を相手の脚の内側から二重に絡ませたまま体を後方に捨て相手の上に乗りながら投げる技である。

足緘(あしがらみ) (禁止技の一つである)
相手の片足に、自分の足を下から絡ませてねじり、膝の関節をきめる技。

胴絞(どうじめ) (禁止技の一つである)
相手の胴に両足を回して、足首を絡ませ、胴を両足で強く絞める技。

畳などの設置の仕方
国際試合審判規定では、試合場内は最小限8m_8mから最大限10m_10m四方の畳の上となっている。畳を敷く場合,試合場内は32〜50畳の範囲で行われることが多い.試合場外の安全地帯(1.5間の幅で囲む)を含めると98〜128畳が必要であり、隙間をあけずしっかり詰めて敷く。
畳の他にマット(例えば柔道授業用に開発されたジョイント式スポーツマット・マトレックス)などを代用することもある.

起きやすいけがの事例
頭部のけがは、相手に(大外刈り,大内刈り,背負い投げなどの技で)投げられたときに受け身ができず、頭部を打つことによって起こる。脳出血や脳挫傷があり、死亡事故につながることもある。頚部のけがは、頚椎の骨折や脱臼に伴う脊髄損傷であり、技の掛け方や受け方が未熟であったり、無理な掛け方をしたときに、自ら体勢を崩し頭から突っ込んで起こる。特に内股や背負投げの時に多い。また激しい攻防や高温多湿下での練習による熱中症や心疾患による突然死にも注意が必要。
事故の発生が最も多いのは乱取り(自由練習)の時であり、次いで試合中である。

巧緻性(こうちせい)
適切に行動し、目的を果たす能力。俗に言う「器用さ」のこと。

試合におけるルール
柔道には「一本」「技あり」「有効」「効果」がある。一本は相手が仰向けで勢いよく倒れた場合、技ありは勢いや弾みが十分でない場合、有効は相手の背中のつき方が十分でなかった場合や勢いや弾みが足りなかった場合である。
固め技の場合は相手が「参った」と言うか、畳を軽く二度たたくか、30秒(国際ルールでは25秒)抑え込んだ場合が一本となる。技ありは25秒(国際ルールでは20秒)、有効は20秒(国際ルールでは15秒)、抑え込んだ時のポイントである。
簡易な試合においては、投げ技では「一本」の評価のみにしたり、抑え技では10秒で「一本」にしたり、学習する生徒にとってシンプルなわかりやすいルールで行うような工夫をするとよい。

審判と運営の仕方
簡易な試合は一本とった方が勝ち,という単純なルールで行うとよい。固め技(寝技)の場合は口頭で数えられるため審判員は置かなくてもできる。道場の畳数と人数を考慮し,十分なスペースのもとで行う。立ち技のみの場合でも最低ひと組当たり6〜8畳を使用して行う。立ち技も固め技(寝技)もありで行う場合にはさらに広くスペースをとる必要がある。