東京学芸大学国際教育センターは、国際教育全般にわたり研究を進めており、その成果を、刊行物、各種研修の実施を通して広く提供しています。また、教員及び多文化の子どもとその家族を対象に教育指導相談などを実施しています。
海外に在住する日本の子どもたちは、その家族とともに世界中にいます。そして、各国で現地の学校や、日本人学校、補習授業校に在籍し、学んでいます。
また、こうした子どもたちは、毎年、新たに海外に出国する子どもと海外から帰国する子ども、そして現地で生まれ、育つ子どもなど、その学習環境や国籍、今後のキャリア形成の予定は非常に多様化しています。
国際教育センターは、設立当初から、こうした、いわば移動する子どもたちの教育についての調査・研究を中心的に担ってきました。
戦後、日本の学校は国際化する日本社会のあり方に対応できる子どもたちを育成するために、UNESCOの提唱する国際理解教育(時期によりその呼称は変化してきました)のついての実践を重ねてきました。
本センターは、日本の子どもたちが学ぶ国際理解教育について、在外教育施設での実践、教育研究の成果にも目を配りながら、国際理解教育分野についての実践研究を行ってきました。今日では、それは新しい市民性教育も視野に入れながら、センターの調査・研究の一端をなしています。
今日、日本社会のグローバル化は社会の隅々にまで及んでおり、教育の分野もその例外ではありません。
よく知られているように、多様な文化、生活歴、国籍などをその背景とする子どもたちは、日本語指導を必要とする子どももいれば、日本語を母語とするにもかかわらず、学習言語の獲得・育成が十分ではない子どもたちなど、それぞれに必要とされる支援が異なります。
こうした多様な条件と指導の必要性を持つ子どもたちへの指導、支援について、本センターはJSL児童生徒教育に関する調査、研究やJSL児童生徒教育研修の実施を通して、貢献しています。
本センターは、在外教育施設への情報提供、実践支援、さらに在外教育施設における指導・実践記録の収集、報告書の作成、また、各学校のガイドブックや紀要の収集などを通して、在外教育施設の教育についての支援を行ってきました。
さらに、文部科学省の在外教育施設への教員派遣事業への協力、海外子女教育財団など各種団体との連携のもと、海外に派遣される教員、帰国教員の活動の支援を行ってきました。
多様な文化背景を持つ子どもたちは、学校や教育施設に在籍し、また地域社会に在住し、日々成長しています。こうした子どもへの支援は、学校だけでなく地域社会で各種の機関や組織、民間ボランティアグループなどにより行われています。
本センターでは、こうした団体との連携を行い、また本センターで収集している各種の資料、参考文献等を閲覧に供しています。
また、国際交流協会などの実施する多文化の子どもの支援事業に、協定に基づく支援、団体の事業の後援などを行っています。
さらに、本センターでは「多文化児童・生徒の発達相談室」を設け、ご家族や教員からの相談に応じています。