2020年度教育支援経費事業 教師を目指す学生のためのセクシュアル・マイノリティ理解講座 -LGBTQからSOGIに、当事者と語り理解を深める時間-

本学の学生は、その多くは卒業後、主に教員として学校教育に、あるいは地域での教育に関する専門職の一員として教育に携わることになる。その際、学校において多様な子どもたちを直接指導し、受け入れる学級の子どもたちを指導するだけでなく、学校内外で保護者や地域の方と触れあいながら、多様な子どもの理解と支援に携わることになる。なかでも在籍するセクシュアル・マイノリティの子どもに関する教育・支援も必須のものとなることが、各種の調査や文部科学省の指導指針(下記参照)を見ても明らかである。しかしながら、本学を始め教員養成課程の教育では、必ずしもすべての学生がセクシュアル・マイノリティ教育・支援について、基礎的な知識を獲得し、トレーニングを積んで卒業していくわけではないのが現状である。こうした現状に鑑み、教師を目指す学生のために多様な子どもの教育、特にセクシュアル・マイノリティの子どもに焦点を当てて、その理解や支援に関わる基礎、基本を得る機会を提供するために本講座を企画した。

本講座は2017年度(平成29年度)より、継続して実施しているものであり、2020年度も本学より教育支援経費の助成をうけて実施された。

2020年度は、実際に教育や教育の場に関わっているセクシュアル・マイノリティ当事者の方を講師に迎え、5日間にわたって連続講演を実施し、具体的に当事者と対話の機会を提供した。

当事者講師陣からは、「学校での体験を当事者として伝える立場」、「公立学校に勤務する教師の立場」、「セクシュアル・マイノリティ支援活動に従事する立場」、「カウンセラーとして学校や職場での相談活動に従事する立場」、さらに「親として、家族として子どもの教育や学校に関わる立場」から、それぞれ具体的な経験と事例に基づいて講演いただき、その後、講師と参会者との対話の時間を持った。各回、当事者と具体的な事例をもとに質疑を行うことで、参会者はセクシュアル・マイノリティ教育・支援に関する理解を深め、深く考える機会を得ることができた。

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▶平成27年(2015年)4月の文部科学省による通知「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」にもとづき、すべての学校の教職員に向けて出された指針。

教師を目指す学生のためのセクシュアル・マイノリティ理解講座
-LGBTQからSOGIに、当事者と語り理解を深める時間-

2021年1月18日(月)~1月22日(金)zoomによる遠隔研修

司会:吉谷 武志(東京学芸大学国際教育センター)

1月18日「多様な個人にやさしい仕組みをつくる-セクシュアル・マイノリティフレンドリーな社会とは」
講師 原 ミナ汰さん NPO 法人共生ネット及び(一社)LGBT 法連合会 代表理事代表理事

1月19日「教員を目指す学生に伝えたいことー学校での体験談」
講師 タクミさん NPO 法人共生ネット

1月20日「セクシュアル・マイノリティの親をもつ子どもたち-LGBT ファミリー、案外近くに暮らして
います-」講師 小野 春さん(にじいろかぞく代表・「結婚の自由をすべての人に」訴訟原告)

1月21日「ゲイの現役教師が伝えたいこと―セクシュアル・マイノリティにとっての学校―」
講師 鈴木 茂義さん 公立小学校非常勤講師

1月22日「スクール・カウンセラーからみた学校のセクシュアル・マイノリティ事情」
講師 大賀 一樹さん
NPO 法人共生ネット理事、臨床心理士、公認心理師、早稲田大学スチューデントダイバーシティセンター/ジェンダー・セクシュアリティ(GS)センター専門職員