第10回多文化共生フォーラム

「多文化共生フォーラム」は、多文化共生に関わる教育の課題や問題等を把握することを目的とした研修会である。第10回となる今回のフォーラムは、2020年12月5日(土)に東京学芸大学にて開催された。テーマは「多様な子どもを受け入れる学校―セクシュアル・マイノリティの視点から―」とし、今日多様な特質を持つ子どもたちを受け入れている学校の課題について、下記のように、セクシュアル・マイノリティの特色を持つ子どもたちを受け入れる視点から考えた。

今日の学校には言語、宗教、生活習慣、さらにその特性などから「多様な子ども」を受け入れることが求められている。とくに見えにくい存在としてのセクシュアル・マイノリティに属する子どもたちの受け入れ・支援は、その存在の社会的な顕在化、認知度の高まりともあいまって、急速にその必要性を増している。
このような点については、セクシュアル・マイノリティの認知と支援を進める国際的な流れを受けて、日本でも理解が進み、様々な制度が整備されつつあり、教育現場もその流れの中にある。例えば、文部科学省により学校での在籍、対応状況に関する調査が実施され、それにもとづく行政や教職員向けのガイドラインが出されるなど、この10数年間に、こうした児童生徒への対応が改善さえ、少しずつ受入れ環境の改善への取り組みが行われてきた。

しかしながら、こうした理念や制度の整備にもかかわらず、学校における現実、つまり受入れ体制の構築、整備、教師や児童生徒をはじめとする関係者の理解が進んでいるかというと、まだ十分であるとはいいがたい現実がある。このように現実が変わらないことの原因の一つは、セクシュアル・マイノリティであること、その当事者性に対する理解、そして関係者の中での「対話」が進んでいないことなどがあるように思われる。このことは、セクシュアル・マイノリティの子どもたちだけでなく、学校に在籍する多様な子どもへの理解や受け入れにもかかわる課題であると言える。

そこで、このフォーラムでは、セクシュアル・マイノリティの子どもにフォーカスし、学校にかかわる者がどのような工夫をすることで、多様な子ども、児童生徒を受け入れる多文化学校を作ることができるのかを考えた。その際、セクシュアル・マイノリティに属する当事者、支援者と、受け入れる側の学校、教師、さらに教育委員会関係者、この双方の対話を進める形で、今日求められている「多様性を尊重する学校」の在り方を考えた。

2020年度 第10回 多文化共生フォーラム

多様な子どもを受け入れる学校
-セクシュアル・マイノリティの視点から-2020年12月5日(土)zoomにて遠隔開催

12:30 開場、受付(接続)開始

13:00 開会 榊原知美(東京学芸大学国際教育センター)

13:00~13:05 開会の挨拶 竹鼻ゆかり(東京学芸大学国際教育センター センター長)

第一部

多様な子どもを受け入れる学校の試み
-セクシュアル・マイノリティの子どもを通してみた現状と課題-

13:05~13:25 趣旨説明 吉谷武志(東京学芸大学国際教育センター)

13:25~14:05 講演「多様性が尊重される学校をめざして―倉敷市の試み―」
松尾真治(岡山県倉敷市教育委員会人権教育推進室 指導主幹)

14:05~14:15  質疑応答
(14 : 15~14:25 休憩 )

第二部

多様な子どもを受け入れる学校に求められること
-セクシュアル・マイノリティの子どもの視点から-

司会 見世千賀子(東京学芸大学国際教育センター)
   吉谷武志(東京学芸大学国際教育センター)

14:25~15:55  セクシュアル・マイノリティの関係者として学校に求めたいこと

小学校教員の立場から 
鈴木茂義(公立小学校非常勤講師、上智大学非常勤講師)

スクールカウンセラーの立場から 
大賀一樹(NPO法人共生ネット理事/臨床心理士/公認心理師)

家族の立場から    
小野 春(にじいろかぞく代表、「結婚をすべての人に」訴訟原告)

学校教員、実践者の立場から
遠藤貴子(東村山市立東萩山小学校教諭)
角田 桜(東京学芸大学附属世田谷小学校 養護教諭)

15:55~16:25 質疑応答

16:25~16:30 閉会の辞 松井智子(東京学芸大学国際教育センター)