国際シンポジウム
[重要]開催日程 延期のお知らせ
今回の東北地方太平洋沖地震より被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
一日も早い復旧を重ねて心よりお祈り申し上げます。
上記シンポジウムの開催日程を5月以降に延期いたします。被災地での状況はもちろん、関東地方での計画停電、公共交通の縮小が実施されていることや、福島第一原子力発電所の事故による空気中の放射線量の増加および放射性物質の拡散の問題が解決していないことを考慮し、このような決断にいたりました。
これまで多数の参加申し込みをいただいておりますが、今の状況で開催しますと、いらっしゃることのできない方が多く出る可能性があります。5月以降に延期することによって、今回参加をご希望くださった方に、ご不便やご不安なく参加いただけることを期待しております。
新たな日程につきましては、決定次第、お知らせをお送りいたします。ご了承いただけますようお願い申し上げます。
企画者一同、状況が一日も早く改善され、シンポジウムで皆さんとお会いできることを心より願っております。
大井学(金沢大学)・権藤桂子(共立女子大学)・松井智子(東京学芸大学)
国際シンポジウム 多言語環境児童の学習言語の発達と障害
―イマージョン教育から見えてくること―
グローバル化の進行に伴い、我が国でも多言語環境で育つ児童が増えています。本シンポジウムでは、多言語環境で育つ児童の学習言語の発達と障害について、イマージョン教育の第一線の研究者、教育者による講演を企画しています。また、多言語環境で育つ発達障害児も増加傾向にあり、支援や研究の必要性が高まっています。これらの児童の言語発達と障害についても意見交換ができる機会にしたいと思います。多くの方のご参加をお待ちしています。
■日時:2011年3月24日(木)午後1時~午後6時
■場所:共立女子大学3 号館610 教室(東京都千代田区神田神保町3-27 3 号館)
■主催:金沢大学子どもの心の発達センター
■共催:東京学芸大学国際教育センター
RISTEX プロジェクト「自閉症にやさしい社会:共生と治療の調和の模索」
多言語発達支援研究会
■後援:共立女子大学発達相談・支援センター
■企画:大井学(金沢大学)
権藤桂子(共立女子大学)
松井智子(東京学芸大学)
プログラム
13:00-13:10 挨拶 大井学氏(金沢大学教授)
13:10-14:40 講演1 中島和子氏(トロント大学名誉教授)
14:40-15:40 講演2 古石篤子氏(慶応大学教授)
15:40-16:00 休憩
16:00-17:30 講演3 Friebus-Flaman, Marion氏 (Principal,Dooley Elementary School)
17:30-17:50 質疑応答
17:50-18:00 挨拶 大井学氏
*プログラムの内容は変更となることがあります。
シンポジウム講演要旨
■講演1 「マイノリティー言語児童生徒とイマージョン教育」
中島和子氏(トロント大学名誉教授。カナダ日本語教育振興会名誉会長, 母語・継承語・バイリンガル教育研究会会長)
1960 年代にカナダで始まったイマージョン教育は、教科学習の50%以上を第2/3 言語で行う 学校環境である。加算的バイリンガル育成の有効な手段として40 年以上の実績があり、現在世 界各地で使われている言語教育の1形態である。国内の外国人児童生徒のようなマイノリティー 児童生徒にとってもイマージョン教育が学習言語を伸ばす学習環境となるのであろうか。学校で 教科学習をL2(日本語)で行うため、日本語に'immerse'したイマージョン的状況ではある が、L1(母語)を使用した教科学習がないため、母語が後退、喪失の危険に晒され、母語の学 習言語が育たない。このために日本語の学習言語の獲得も遅れがちで、結果として減算的バイリ ンガル(母語は捨てて現地語のモノリンガルになる)ケースが多い。マイノリティー児童生徒の 母語の学習言語を育てるあり方として、カナダ(中部3 州)の継承語イマージョン、米国の双方 向イマージョン(Two-way immersion)、海外児童生徒教育のための週末イマージョン(補習授業 校)の例を取り上げる。
■講演2「ろう児のバイリンガル教育―カナダDrury 校の試みを通して」
古石篤子氏(慶応大学教授)
ろう児が知覚上の不全感なく獲得し使用できる言語は手話であり、日本ではそれは日本手話、 英語圏カナダではASL(アメリカ手話)である。これらの手話は言語学的に見て音声日本語・ 音声英語とは異なる独自の文法をもった自然言語のひとつとされる。したがって、日本手話や ASL を使用するろう者はその居住地域において言語的少数者である。このような子どもたちの 教育環境の構築をカナダ・オンタリオ州立Drury 校の実践を通して考えたい。わが国のろう教 育では未だ聴覚口話法が主流であり、手話の言語環境は不十分であるが、Drury 校ではバイリ ンガル教育を行っている。これは第一言語としてのASL と第二言語としての書記英語の2言語 の習得を目指すものである。しかしながら、視覚と聴覚という異なるモードの2言語獲得は容易 なことではない。発表ではDrury 校での実践を、ビデオを見ながらご紹介したい。特に幼稚部 や小学部での発達に応じた2言語教育、ASL-phabet(grapheme)を通じての言語意識の育成、 MVL(Manipulative Visual Language)使用の英語教育などについて触れようと思う。
■講演3 "Educating Bilingual Students with Special Needs in a Japanese-English Dual Language Program"
Marion Friebus-Flaman,Ph.D. (Thomas Dooley Elementary School)
Dooley Elementary School is a K-6 public school that houses a Japanese-English two-way immersion program. This program is designed to develop students who are bilingual, bi-literate and bicultural, with approximately half of the students entering Kindergarten as native speakers of English and half of the students entering Kindergarten as native speakers of Japanese. From Kindergarten through 6th grade, half of the curriculum is delivered in Japanese and half in English. Over 200 students participate in this program. Of these students, there are a handful of students who have been diagnosed with cognitive disabilities or ASD/PDD. The presenter will give an overview of the two-way immersion program; then focus specifically on the instructional strategies and supports employed in educating Japanese-English bilingual students who have these special needs. The roles and responsibilities of classroom teachers, instructional assistants, special education resource teachers, and other related services staff will be presented as well as parents' roles and communication between home and school. Video clips of instruction and samples of student work will also be presented.