第10回国際教育センターフォーラム

主 催:東京学芸大学国際教育センター

第10回 国際教育センターフォーラム

「海外・帰国子女の多様化と教育の課題」

日 時:2017年3月4日(土)(13時~17時)

会 場:東京学芸大学 南講義棟(S棟)S303教室

今、海外子女、帰国子女の多様化が進んでいます。在外教育施設では、補習授業校やアジア圏の日本人学校を中心に、必ずしも日本への帰国を前提としない、国際結婚家庭の子どもや永住者の子ども等が増えています。また、海外における就学状況のデータからは、日本人学校や補習授業校に通わない子どもや、就学前の低年齢の子どもが増加する傾向にあります。それに伴って、近年の帰国子女の状況にも変化が生じているといわれています。今回のフォーラムでは、子どもの多様化が進むヨーロッパ地域の補習校の事例と、長年帰国子女を受け入れてきた、国内の2つの学校の事例をもとに、海外・帰国子女の新たな状況と教育の課題についてご報告いただきます。それをもとに、海外・帰国子女教育を捉えなおし、今後の支援のあり方について、ご来場の皆さまとともに探っていきたいと考えています。

■■■プログラム■■■

総合司会:菅原 雅枝(東京学芸大学国際教育センター准教授)

12:30~ 会場、受付開始

13:00~13:10 開会の辞 馬場 哲生(東京学芸大学国際教育センター長)

13:10~13:30 趣旨説明 見世千賀子(東京学芸大学国際教育センター准教授)

13:30~16:10 報告1~4

「補習授業校の子どもたちへの確かな学びの支援を」

江口 俊昭(ロンドン補習授業校・ダブリン補習授業校 元校長)

「日本語補習授業校と子どもたちをとりまくドイツの今-多様化する『わが家の言語政策』」

奥村三菜子(ケルン日本語補習授業校・ボン日本語補習授業校 元講師)

「近年の帰国児童生徒と教育の課題」

山下 一枝(啓明学園中学校高等学校 教諭)

島田かおる(啓明学園初等学校 講師)

佐々 信行(海外子女教育振興財団教育相談員、啓明学園 元校長)

「中野区立第三中学校における帰国生徒への取り組み」

齊藤 久(中野区立第三中学校 校長)

指定討論     松井 智子(東京学芸大学国際教育センター教授)

16:10~16:50 パネルディスカッション

「多様化する海外・帰国子女への教育支援策をめぐって」

コーディネーター:見世千賀子

パネリスト   : 報告者全員、指定討論者

16:50~17:00 まとめと閉会


【報告概要】

補習授業校の子どもたちへの確かな学びの支援を

江口俊昭(ダブリン補習授業校、ロンドン補習授業校 元校長)

 補習授業校で学び、学んできた子どもたちは、日本で暮らす子たちよりも恵まれた、いわゆるバイリンガルな環境下で学んでいるように見えたり思われたりしているようでもあります。しかし皆がその地の環境を生かし、生きる力につながる確かな学力を身につけてきているとは言いがたい状況があります。子どもたちの学びの場の環境が変わり、多様化してきたとも見えますが、複数言語下でいかに学力をつけていくかという課題は変わらず、学びの指導や支援のあり方が依然整理されていないということなのかもしれません。情報交換、交流手段が急速に容易になった現在ゆえ、世界各地で子どもたちを実際に支援している人たちの助け合いのネットワークができるとよいと思います。

日本語補習授業校と子どもたちをとりまくドイツの今-多様化する「わが家の言語政策」-

奥村三菜子(ケルン日本語補習授業校・ボン日本語補習授業校 元講師)

 ドイツでは、日本にルーツを持つ子どもたちの生育環境や各家庭の言語観・教育観が多様化しており、日本語補習授業校の教育指針に対する疑問や課題が以前にも増して顕在化しつつあります。子どもを日本語補習授業校に通わせないという選択をする家庭も増える中、在外教育施設以外の民間や個人による日本語教育・日本語保持の取り組みが広がりを見せつつあります。こうした背景には、現地校と補習授業校との教育観の異なりや、各家庭と補習授業校との言語観のミスマッチなどがあると考えられます。一人ひとりの子ども・一つひとつの家庭の思いに日本語補習授業校はどのように応えていくことができるのでしょうか。その意義や求められる役割について、改めて見直す時期に来ていると思われます。

近年の帰国児童生徒教育の課題

山下 一枝(啓明学園中学校高等学校 教諭)

島田かおる(啓明学園初等学校 講師)

佐々 信行(海外子女教育振興財団教育相談員、啓明学園 元校長)

 啓明学園では、国際学級開設(1972年)当初より、一人一人の子どもを支える教育を目指してきました。国際学級システムの対象には、帰国生に限らず複数言語、複数文化の環境にある子どもが含まれます。初等学校(小学校)では、日本での生活経験のない高学年の帰国児童、日本生まれで多言語環境にある低学年の児童が増加しています。中学・高校でも保護者の勤務に伴って海外に滞在した帰国生は半数程度で、そのほかは、社会の国際化・多様化に伴う様々の理由で、複数言語の環境で生育することになった子どもたちです。帰国生教育については最先端にあり続けている学校現場の視点で、これからの学校に何が求められるかを展望してみたいと思います。

中野区立第三中学校における帰国生徒への取り組み

中野区立第三中学校 校長 齊藤 久

 昭和49年、当時の文部省から海外帰国子女教育研究協力校に指定されて以来、約40年間にわたり帰国生徒を受け入れてきた実績がある伝統校です。本校の帰国生徒対応の取り組みについて紹介いたします。

 平成29年2月現在43名の帰国生徒が在籍しています。これは全校生徒の23%にあたります。43名の生徒の中には、中学校で初めて保護者の祖国である日本に帰国し、日本語は挨拶程度しかできない生徒が数名います。帰国生徒の1番の不安は、授業についていけるかどうか、友達ができるかどうか、です。その不安を解消し1日でも早く日本の学校環境に順応してもらえるように全校体制で受け入れをしています。


【参加申し込み方法】

申し込みは、氏名、ご所属、返信用のメールアドレス、もしくはFAX番号を明記の上、下記宛にメールかFAXにてお申し込みください。

件名「国際教育センターフォーラム申し込み」とし、本文に氏名・所属をご記入ください。

* 申し込み締め切り:3月2日(木)

《 席に余裕がありますので、お申し込みなしでも、当日ご参加いただけます》

* ご質問、ご不明な点につきましても、下記までお問い合わせください。

* 詳細は、随時ホームページに掲載します。


【お問い合わせ先】

東京学芸大学国際教育センター 教務室、または事務室

TEL.042-329-7717, 7727 FAX.042-329-7722

メールc-event(@)u-gakugei.ac.jp  ※(@)を@に置き換えてください。

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