応用情報処理Ⅰ(2)

変数とその利用法

VB.Netで使える変数の型とその利用法の概略をまなぶ。

変数

プログラム上で，演算した結果を一時格納する入れ物を変数という。

先週のプログラムを少し改変する。

Private Sub btnPush_Click(ByVal sender As System.Object, ByVal e As System.EventArgs) Handles btnPush.Click lblAnswer.Text = "私は" & txtName.Text & "です。" End Sub

↓（修正）

Private Sub btnPush_Click(ByVal sender As System.Object, ByVal e As System.EventArgs) Handles btnPush.Click Dim aiueo As String aiueo = txtName.Text aiueo = "私は" & aiueo & "です。" lblAnswer.Text = aiueo End Sub

全体の意味は（ほとんど）変わっていない。 今回は変数aiueoを導入して、値を一時的に保存している。
これを詳しく見ていくことにする。

Dim aiueo As String

「変数aiueoを文字列型変数(String)として使用する」という宣言。

ここで、変数を宣言している。VB.Netでは変数の宣言は必ずしも必要ではないが、強く推奨する。基本的な構文は以下のとおり。

Dim varname As Type

ここで、varnameは変数名、Typeはその変数の型である。

変数名
変数の名前は、英数字の組み合わせで、英字ではじまっていなくてはならない。また、大小文字を区別しない。

正しい変数名
A1

Account

Goukei

aiueo

正しくない変数名
預金残高日本語は避ける

1234C1 英字で始まってなくてはいけない

u$io 英数字以外が含まれている

型
変数の型（Type）については後述する。

aiueo = txtName.Text

テキストボックスtxtName.Textの内容を変数aiueoに代入する。

変数の使い方は、数学における変数とほぼ同じである。

A = 123

は、変数Aに値123を代入することを意味する。

注意：
数学では実は曖昧であったが、
A=Z
は、
「Zの値をAに代入する」
と
「Zの値とAの値は等しい」
の２つの意味がある。 VB.Netでもこの２通りの意味があるが、通常は、
「Zの値をAに代入する」
を意味している。

aiueo = "私は" & aiueo & "です。"

変数aiueoの前後に文字列を追加して新しい文字列を作り、それを変数aiueoに代入する。
注意しなくてはならないのが、例えば

A = A * 2

といった構文である。これは
Aの値を２倍して、再びAに格納せよ
を意味する。
Aの2倍とAが等しい、という意味ではない

lblAnswer.Text = aiueo

変数aiueoの内容をラベルlblAnswerのTextプロパティに代入する。

まとめると、新プログラムの内容は次のようになる。

1)整数を保管するための変数aiueoを用意する。
2)テキストボックスtxtNameのTextプロパティを取り出し、変数aiueoに代入する。
3)変数aiueoの値を使って演算をおこない、それを再び変数aiueoに設定する。
4)変数aiueoの内容を、ラベルlblAnswerのTextプロパティに設定する。

注意：
しつこいが、
A=123
はあくまで変数Aに値123を代入するを意味する。
したがって、ごく僅かな例外を除き
123=A
という文は誤りである。

●　変数の宣言

変数は次のように宣言する。

Dim I As Integer
Dim money As Single
Dim Ttt As String

これにより、宣言された変数は、宣言されたデータタイプ用に利用できるようになる。

変数にはローカル変数とグローバル変数があり、宣言する場所で区別することができる。

ローカル変数
プロシージャ内で宣言する。有効範囲はそのプロシージャの中のみである。上の例で、変数aiueoはローカル変数と呼ばれる。
Private Sub CmdDouble_Click(...)
から
End Sub
をプロシージャと呼ぶが、宣言されたプロシージャ内でしか有効ではない。

グローバル変数
そのフォームモジュール全体で利用できる変数である。
プログラムの冒頭で宣言する。
このためには、コードウィンドウの上の方のメニューバーを操作して，
(Declaration)プロシージャ内で宣言する。

ここで宣言された変数は、そのフォームモジュール全体で有効である。

以上を図示すると以下のようになる。

Dim a As Integer 変数Aはグローバル変数であり、このファイル全てで有効。

Private Sub Command1_Click(...) Dim I As Single ・・・・・ End Sub
Iはローカル変数。
Command1_Clickプロシージャ内でのみ有効。
Command2_Clickプロシージャの変数Iとは無関係。

Private Sub Command2_Click(...) Dim I As Single ・・・・・ End Sub
Iはローカル変数。
Command2_Clickプロシージャ内でのみ有効。
Command1_Clickプロシージャの変数Iとは無関係。

●　変数の型

変数は型（Type)を持つ。型は、変数がどのような値を保持すべきかを指定するものである。例えば、文字列を保持する変数は文字列型変数である。また、整数を保持する変数は整数型変数である。 Visual BASICでは、次のような型がある。

バイト(Byte) 0～255
ブール(Boolean) 真（True）または偽（False）
短整数型(Short) -32768 ～ 32767
整数型(Integer) -2147483648～2147483647
単精度浮動小数点型(Single) 負　-3.402823E38～-1.401298E-45
正　1.401298E-45～3.402823E38
文字列型(String) ０～２ギガバイト
ユーザー定義型

通常は、整数型(Integer)と単精度実数型（Single）、文字列型(String)を意識しておけばよい。

VB.Netでは、変数の宣言時にデータ型を省略することができるが、お勧めしない。

Dim I

このように、データ型を省略した場合、その変数はObject型とみなされる。Object型は代入されるデータタイプにより数値か文字列に自動的に管理される特殊なデータ型である。
Object型は変数の型を自動的に変換し、適切に処理してくれるので便利であるが、変数を宣言しないと長いコードを書くプログラムでは思わぬバグとなることがある。
このため、このような使用は極力避け、きちんと型を宣言することを強く推奨する。

●　変数への代入

変数には、その型にあった値を代入できる。


Dim I As Integer
Dim money As Single
Dim Ttt As String

I=123
money=1.2234
Ttt="これは文字列だ"

入力する値が宣言されたデータタイプと異なる場合は、自動的に変換される。

Ttt=123

数値を入力しているが，Tttは文字列型であるので、数値が文字列型に変換される。実際にTttに格納されているのは数値としての１２３ではなく、文字列"123"である。

I=123.4

１２３．４は実数であるが，変数I整数型であるので、整数化された１２３が格納される。

money="文字列"

これはエラーになる。文字列を実数化することはできない。
たまたま、数字として読める文字列については、うまくいくが、そうしたことをやるべきではない。

もっとも安全な方法は、型変換関数を使うことである。


Dim A as String
A = CStr(123.0)

ここで、実数123.0を関数CStr()を使って文字列化している。同様に、


Dim B as Single
B = CSng( "123.0")

は文字列"123.0"を実数化し、


I = CInt("123.45")

は整数型に変換する関数である。

●整数型変数を用いた計算

ここでは、整数型変数を使って、年齢を計算することにする。先週のプログラムkadai01を改造する。

Private Sub btnPush_Click(....) Dim Age As Integer Dim S As String Age = 2010 - CInt(txtBirthYear.Text) S = "私は" & CStr(Age) & "才です" lblAnswer.Text = S End Sub

ここでは、テキストボックスtxtBirthYearに入力されたデータを、関数CInt()を用いて整数型に変換し、年齢を計算してから整数型変数Ageに格納している。さらにこれを関数CStr()を用いて文字列化し、ラベルlblAnswerに表示している。

課題２ kadai01を参考に、次のようなVB.Netアプリケーションkadai02を作成せよ。課題は圧縮し、gkjleplus@yahoo.co.jpにメールすること。（課題提出の注意参照）

バイト(Byte)	0～255
ブール(Boolean)	真（True）または偽（False）
短整数型(Short)	-32768 ～ 32767
整数型(Integer)	-2147483648～2147483647
単精度浮動小数点型(Single)	負　-3.402823E38～-1.401298E-45 正　1.401298E-45～3.402823E38
文字列型(String)	０～２ギガバイト
ユーザー定義型