Achnanthidium saprophilum (H. Kobayasi & Mayama) Round & Bukhtiyarova の完成された縦溝殻(走査型電子顕微鏡写真)と、その形成過程(透過型電子顕微鏡写真)。スケールは10μm。

A. saprohilum の完成された無縦溝殻と、その形成過程。縦溝殻の写真と比べてみてほしい。殻形成の初期段階では、縦溝殻と同様に縦溝スリットが形成されるが、それは次第に珪酸質で埋められ、殻の完成時には完全に消えてしまうことがわかるはずである。


学名豆知識

本種は最初Achnanthes minutissima var. saprophila H. Kobayasi & Mayama (1982) として報告された。その後、Round & Bukhtiyarova (1996) によりAchnanthidium属にの種として組み替えることして(属の組み合わせの変更、分類群ランクの変更)が適当であると報告された。このため、基礎異名(Basionym)の命名者である H. Kob. & Mayama が種小名(種形容語)のあとにカッコづけで入り、命名学上の変更をおこなったRound & Bukhtiyarova の名前がその後に付いているのである。

H. Kobayasiとは故小林弘博士のことである。スペルの語尾が-shiとならず、-siとなっているのは、世の中に多い「小林」姓の他の研究者と区別するため、博士が意図的に綴っていたためである。しばしば省略して H. Kob. と書かれる場合がある。