ノベーション・ジャパン 2004 は、大学がもつ「知」の財産を広く産業界へ知らせるための見本市です。産学のマッチングによる新たなる産業創造の期待が掛けられています。

会期:2004年9月28日(火)〜9月30日(木)

会場:東京国際フォーラム

主催:イノベーション・ジャパン2004 組織委員会

共催:経済産業省、文部科学省など

会期後の主催者側の発表では、3日間の会期中で延べ3万4千人余りが入場したそうです。

私たちのブースを訪れて、貴重なご意見をくださった方々に厚く感謝の意を表したいと思います。

ご来場、どうもありがとうございました。また、今後ともご支援、ご協力を頂ければ幸いです。



たちの研究プロジェクトでは、珪藻を用いて河川環境を学ぶためのシミュレーションシステムを開発していますが、この成果技術の産業界への導入を提案します。

成果の名称(和文)

河川環境と生物学的水質評価を同時に行えるシミュレーションシステム

成果の名称(英文)

A symulation system for river environment and its biological assessment

研究代表者

真山茂樹 (MAYAMA, Shigeki)

研究代表者の所属

東京学芸大学教育学部生物学教室 (Department of Biology, Tokyo Gakyugei University)

概要

流域環境の違いから生じる河川水質の変化を、河川に生育する代表的な生物である珪藻の群集組成から理解する、教育用シミュレーションシステムを開発した。本システムでは、流域長10 Kmのバーチャル河川において、人間活動の結果として生じるさまざまな流域環境を、土地利用、人口、廃水処理の条件を入力することで設定すると、メッシュプログラムから導き出された河川の水質がCOD値として5地点で予測される。そのCOD値に対応する珪藻群集が、四季ごとに序列化した珪藻種のデータから選択され、その顕微鏡プレパラート像が、表示プログラムによりモニター上に合成表示される。学習者は、表示された珪藻プレパラート像を、図鑑とリンクさせた同定正誤判定プログラムを利用し、識別珪藻群法によって自ら創り出した流域環境下における河川水質の評価をおこなう。本システムは研究者らの長年の基礎研究の結果を結集したシミュレーションプログラムを基盤として作られており、他に類を見ないものである。現在、本システムを使った実践教育を中、高、大学および社会教育現場で試行し、ユーザビリティーの改善と教育プログラムの開発を行っている。

マッチングを想定する業界/用途利用分野

教育産業界、環境教育や環境保全に関心を持つ様々な業界、コンピュータソフトゥエア業界、水環境の管理に関わる業界/中・高・大学教育および社会教育および環境コンサルタント分野での教育的利用が考えられる。

産業界へのアピールポイント

本システムでは、河川流域環境に対応する河川水質と珪藻群集の関係を、利用者に高精度でかつ容易に理解させることが可能である。今日、教育現場ではIT 関連機器の整備が推進されているが、環境学習に関わる本格的学習教材は少ない。国民の水環境に対する意識は高く、企業参入により本システムを中核ととする環境教育の全国展開、さらには海外における展開が可能である。

従来技術に対する新規性・優位性

本システムのように複数のプログラムを合体させ、水環境の教育に応用しようとしたものは、今日まで、研究代表者らによるもの以外は存在しない。また、本システムで用いた生物学的水質判定法は研究代表者らが開発し、東京都環境局で15年にわたり実用された信頼性の高いものである。

実用化に向けた課題

現在、システムのプログラムはビジュアルベーシックで書かれているが、実用にあたってはアセンブリ言語での作成が必要。また、効率的な教育プログラムの開発を平行して進める必要がある。

 なお、ブースにおける展示は東京学芸大学美術学科デザイン研究室の全面的協力により制作されます。