「関係者以外立ち入り禁止」多くの大学の門にはこのような看板があるだろう。
ところが私の勤めている東京学芸大の門にはちょっと違うことが書いてある。
「教育に支障がない限り,どなたでも入って良いです」というようなことが書いてある。
もちろん、建物や施設には無断では入ってはいけない、守衛さんに声をかけるなどの決まりはある。
地域の人にも、大学の自然などを味わってもらいたい、というのがねらいであろう。
したがって、大学構内には普段からいろいろな人が歩いている。
地域の保育所の園児と先生達がよくお散歩をしている。水溜りでぐちゃぐちゃになったり、講義棟の変なモニュメントをみんなで眺めたりしている。
地域のお年寄りの方が車椅子で散歩している風景もよく目にする。春は桜,秋は落ち葉が舞っている。
日ごろからそんな雰囲気なのだが,学園祭のときはもっと子ども達がたくさん来る。少し他の大学とはお客さんの雰囲気が違う学園祭である。
小中学生の割合が大きいような気がする。今年初めて模擬店を出した1年生もだんだんと気がついてくる。売上を上げるためには,小中学生にうけなければならないことを。
教室を改造したライブハウスには,バンドのメンバーがコーチをしているサッカークラブの少年達が座っていたりする。そして、ハンディキャップをもつ青年も楽しそうにライブを楽しむ。
もちろん、「模擬店ばかりでアカデミックな企画が少ない」という批判もある。確かにその通りでもある。
しかし、たくさんの子ども達がお祭り気分になれ、少し大人の世界も触れてみる。大学生と言葉を交わしてみる。
そんな機会を与える、学芸大の学園祭も、なかなか捨てたものではない。