教員の病気休職者のうち、精神疾患による休職が占める割合が増加している。
1979年度では、17.9%だったものが1996年度では36.5%と、3分の1を上回っている。
もちろんどんな職業でもそうだが、教師という職業はたいへんである。大勢の人とつきあっていかなければならないし、肉体的にもきつい。拘束時間も長い。授業の始まる直前に来て、終われば帰れるというわけにはいかない。部活動などの関係から、土日も休めないこともある。
子どもは発達の途上にある。まだ、できないことや分からないこともある。子どもは自分を見つめる目が十分に発達していないため、自分で何が分からないのか、なぜ分からないかを把握することは難しい。そういった場合に、どこまで分かっているのか、なぜ分からないのか、などを教師の側が推し量らなければならない。これは、精神力を使う作業である。
そして、感情にまかせて怒ったり、落ち込んだりするわけにはいかない。感情のコントロールをする必要がある。これも相当の精神力を使う。もちろん、接客にあたる職業であれば、他の職業でもそうだと思うが。
以前のように、「とにかく先生の言うことはききなさい」という風潮ではない。その鉄則によって、先生は良くも悪くも守られていた。よろいをはぎ取られた先生は、生身の体で子どもたちと関わらなければならない。子どもたちにとって、先生は世間一般の大人の象徴である。大人や社会に対する不満、不信などの感情を先生に対して転移してくる。それを生身の体で受け止めなければならない。
先生は、たいへんである。