NHKの特別番組で、ロボットのワールドカップを取り上げていた。
ロボットにサッカーさせようとする試みである。人間がラジコンでロボットを操ってサッカーをさせるわけではない。ロボット自身が人工知能でボールやゴールや相手を認識し、自ら判断して試合を行うのである。認知科学、認知心理学の様々な研究の成果が生かされていると思われる。
ロボットは、タイヤやキャタピラで移動し、スピードは速くない。シュートもゆっくりで、動きそのものはまだまだ未熟である。
しかし、人工知能には驚かされた。主に取り上げられていたのは、先を読む動きをする技術を取り入れたチーム、ロボット同士が無線でコミュニケーションする技術を取り入れたチーム、そして学習することにより判断力を上げる技術を取り入れたチームである。
先を読む動きをするロボットは、ボールをキープしているロボットがシュートすることもできず、パスするコースがないときに、別のロボットが空いているスペースに走り込んでスルーパスを受けるという動きをするものだった。人間にとっては簡単なことかもしれないが、人工知能がこのようなことができるのはすごいと思った。これが発展すれば、「よく気がきく介護用ロボット」なんかも夢ではないかもしれない。
無線でコミュニケーションするロボットは、ほんのわずかな時間に「パスを出しても良いか」「OK」、あるいは「守備に戻れ」といったやりとりをし、チームプレイをするものである。これも、人間にとってはあたりまえのことかもしれないが、人工知能ができるのはすごいと思う。
学習するロボットは、たとえばキーパーが「相手のシュートを外にはじき出し、すぐに定位置に戻る」という行動をプログラムで書くのではなく、実際に何度も経験させて、その行動パターンを獲得させるものである。なかなか学習しないキーパーロボットに対して、担当の人は「書き込んだ方が速いと思うときもある」と答えていたが、人工知能の将来を見据えて、新しい技術を発展させるためには、学習するコンピューターは非常に意味を持つのである。自分の足でボールを蹴ったり、転がしたりして、なんどもなんども学習させていた担当者の姿が印象的だった。
教え込めば速いのだが、将来を考えてあえて自分で学ぶ方法を選択する。なんだか、子どもの教育に対しても示唆的である。