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■ウンシュウミカン
■ミカン科


花(5月撮影)

● いわゆる「冬みかん」です。温州(うんしゅう)というのは、みかん類の名産地である中国の地名ですが、実際はウンシュウミカンは日本特産の果物で、鹿児島が原産地と考えられています。ウンシュウミカンにはほとんど種がありません。種は受粉しないとできませんが、食用にする実の部分は受粉しなくともできるのです。このため、江戸時代までは、みかんは子孫を残さない縁起の悪いものとされ、あまり栽培されませんでした。栽培が盛んになったのは、明治になってからのことなのです。


実ほか(5〜6月撮影)

●ウンシュウミカンには雄しべがあります。そして花粉も少量ですが作られます。ウンシュウミカンを食べると、たまに種を見つけますが、それは、たまたま受粉が起きた花なのです。種ができにくいため、ウンシュウミカンは接ぎ木によって木を増やします。その台木には、同じミカン科のカラタチが使われるのが一般的です。

●受粉しなくとも実ができるのは単為結果性といって、雌しべだけで果実ができるためです。花弁を何枚か取り除くと、写真のように雌しべの付け根(子房)に、小さな小さな緑色の「みかん」がすでにあるのがわかります。それが、雌しべをつけたまま大きくなり(雌しべは枯れて茶色になりますが)、やがて大きな黄色い「みかん」になるのです。


木(5月撮影)

●花の一番下についていた小さな「がく」は、私たちが食べる「みかん」になっても落ちません。「みかん」の「へた」に星形になってついている小さなもの・・・あれが「つぼみ」の時に花を守っていた(覆っていた)「がく」の名残なのです。また、固い「へた」の部分は花托といって、がく、花びら、雄しべ、雌しべがついてた部分です。

みかんの実が大きくなるためには、この部分を通って栄養分や水分が実へ運ばれなくてはなりません。このため、花托には太い維管束が、みかんの房の数だけ配列しています。みかんのへたを取って、そこの模様の数を数えると、皮を剥かなくとも房の数がわかるのはこのためなのです。


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