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■エゴノキ
■エゴノキ科


花(5月撮影)

●5月の連休が終わる頃、大学内で咲く花は白いものが多くなります。釣り鐘のように枝から花が垂れ下がるエゴノキもその一つ。7月には果実も目立つようになります。花と同じように、ブラブラと風に揺れて愛らしいですね。

ところが、この果実、食べると、たいへん「えぐい」のです。そこで、エゴノキの名前がつきました。その成分はサポニンと呼ばれる物質です。サポニンには界面活性作用があるため、エゴノキの実をつぶして、石けん代わりに使っていた時代がありました。


花(9月撮影)

●私たちには「えぐい」実ですが、鳥のヤマガラはこれを好んで食べるのです。 丸い実をくちばしで取ると、両足の間に挟み、くちばしで「えぐい」果実の部分を取り除きます。 そして、種子の硬い殻(種皮)をつついて壊し、中の柔らかな部分(胚乳+胚)を食べるのです。

また、ヤマガラは、その場で食べずに、別の場所へ持ち帰り、穴を掘って貯蔵もします。8割近い果実がエゴノキのある場所から持ち出されたとの報告もあります。ヤマガラは、エゴノキの種子散布に一役買っているのです。


(5月撮影)

●エゴノキの学名はStyrax japonica (スティラックス・ジャポニカ)です。ジャポニカの名前からいって、エゴノキは日本固有の植物のような気がしますが、実際は朝鮮半島、中国にも分布しています。ジャポニカの名前は江戸末期に来日したシーボルトが名付けたことに由来します。


スティラックスという名前の香水原料があります。別名、蘇合香と呼ばれる、ねっとりした琥珀色の樹脂で、Styrax officinal(スティラックス・オフィシナル)という南欧から中近東に生育する近縁種の幹を傷つけることで採取できます。スティラックスの樹脂は、珪藻など微小生物の顕微鏡プレパラートの作成でも封入材として使われています。 日本のエゴノキでもできるどうか、一度、試してみたいものです


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