花(7月撮影)
「女郎花(おみなえし)そも茎ながら 花ながら」 与謝蕪村
画家でもあった蕪村は、そんなオミナエシの特徴をしっかり見抜いていたようです。
●「女郎花(おみなえし)色」をご存知ですか。平安時代から使われてきた日本の色の一つで、緑がかった黄色です。
本来は襲(かさね)の色目といって、十二単など着物を重ねたときに使われた色で、これは表地が黄色、下地が萌黄(もえぎ)色の布の組み合わせでした。
襲の色を縦糸と横糸にして布を織れば、ちょうど植物のオミナエシの花の色になるわけです。
●オミナエシは漢字では女郎花と書きますが、これは平安時代以降のこと。万葉の時代の表記は娘子部四、娘部思、姫部思、佳人部為などであり、美しい女性としての「おみな」を思う植物だったのです。遊女のことを女郎と呼ぶのは江戸時代以降ですので、オミナエシは黄色の花を遊女のかんざしに見立てた命名ではありません。
●その昔、黄色い小粒の粟飯を「おんなめし」と呼んだことから、小さな花をたくさん付けるオミナエシをそれに例えたという説があります。それが、定かかどうか確かめる術はありませんが、それを十分彷彿とさせる形をしているのは事実でしょう。
花(8月撮影)
●他の植物で、花にも茎にも色素が含まれるものに、サルビアがあります。サルビアは赤色素が花弁、がく、茎に含まれるので、目立ちますし、長い期間楽しめます。
オミナエシも、その日に咲いている花数はけして多くないのですが、長い期間楽しめる植物です。
(7月撮影)