花(9月撮影)
●高さ2メートル位までに成長し、濃い黄色の花を幾つも付けます。キクイモはヒマワリと同じ属(Helianthus)の植物ですが、花期はそれより遅く、9月〜11月上旬です。北アメリカが原産ですが、今日では世界各国に移入しました。日本では要注意外来生物に指定されています。
●キクイモの名前は、キクに似た花と、地下茎がごつごつしたイモのような形をした塊茎となるためです。キクイモは店売りされるようなものではありませんが、昔から世界各地で食用されていました。若干土臭い味がしますがレンコンのようなサクサクした食感があります。茹でるとほろほろと柔らかくなるので、炒めてきんぴらにすると美味しく食べることができます。
(9月撮影)
●ジャガイモやサツマイモの「イモ」には、光合成産物がデンプンとして蓄えられますが、キクイモではそれがイヌリンとして蓄えられます。イヌリンはグルコース(ぶどう糖)にフルクトース(果糖)が多数結合した物質です。
植物は光合成をすると、グルコースを生じ、最終的にデンプンになると記憶している人も多いでしょう。確かにアサガオの葉の一部をアルミ箔で被って光に当て、その後、ヨウ素液反応を行うと、光に当たった部位だけが、生じたデンプンのため赤紫色に変化します。しかし、実際は光合成で生じたグルコースはデンプンだけでなく、さまざまな多糖類に変化するのです。イヌリン以外では、コンニャク芋のグルコマンナンや、植物の細胞壁を構成するセルロースなどが有名です。
これらの多糖類はベータ-1,4結合という化学構造を持ちます。人間はこのベータ-1,4結合を分解する酵素を持たないため、これらの物質を消化できないのです。そこで、ベータ-1,4結合を持つこれらの糖類は、食物繊維とよばれ、ローカロリー食品として利用されています。
●今日イヌリンは工業的に、砂糖から微生物の酵素反応を利用して製造されています。ヨーグルトなどの乳製品では添加物として多く使われています。これは、食物繊維を添加するという健康食品としての意味と、低脂肪により不足する、まったりとした味の厚み重厚感(ボディー感)を補強できるためなのです。