花(3月撮影)
● 神前に供する紙を折ったものを「しで(垂・四手)」と呼びます。細くて多数ある花被片が四手を連想させるので「四手辛夷(こぶし)」。この木は平成18年度までは環境省により絶滅危惧種に指定されていました。
花(3月撮影)
野生のシデコブシは岐阜、愛知、三重の極限られた地域にしかありません。現在では少し安心できる準絶滅危惧種となりましたが、生育条件の変化によっては再び「絶滅危惧」に戻る可能性もあるのです。今日、日本の草木の1690種が絶滅危惧種とされています。
●環境省では日本の野生生物の保全のため、全国的な調査を行い、絶滅のおそれがある生物をレッドリストとして公表しています。このリストでは、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、昆虫、魚、貝、甲殻類などの動物から、陸上植物、藻類、菌類などの植物まで、さまざまな野生生物が調査の対象となっています。
このうち、草木とシダ(維管束植物)は約7,000種が調査されましたが、そのうち33種は既に絶滅し、8種は野生では絶滅していました(平成19年度版リスト)。
●絶滅危惧種とは、絶滅の危機に瀕している種、近い将来絶滅の危険性が高い種、あるいは絶滅の危険が増大している種で、その数は調査対象の、なんと1/4にあたります。そしてその予備群とされる準絶滅危惧種は255種もあるのです。
●日本の生物の多様性が失われてきた最大の要因は、開発に伴う生息地の減少や環境の変化です。平成14年度版のレッドリストと19年度版のリストを比較すると、シデコブシのように、ランクが下がった生物も何種かありますが、全体的には改善傾向は見られず、絶滅危惧種はわずかながら増えています。日本の生物多様性は、未だ厳しい状況にあるのです。
(3月撮影)
●なお学芸大のS棟の南には絶滅危惧種のヒトツバタゴが植えられています。