花(2月撮影)
● 世界遺産に登録されている白川郷と五箇山の合掌造りの家。あの大きな茅葺き屋根を支える木の骨組みに釘は1本も使われていません。合掌造りでは骨組みの木をしっかり結びつけるため、「ねそ」と呼ばれる若いマンサクの樹皮が使用されています。マンサクの樹皮は強靱で、ねじりや引っ張りに強いのです。
シナマンサクは中国渡来のマンサクで、学内では日本固有のマンサクより少し早く咲きます。
花(2月撮影)
●合掌造りの屋根は、合掌桁という「人」の字形になった太い木によって支えられています。この合掌桁は正三角形をしていて、冬に積雪で過度に重くなる屋根を、力学的に強く支えることができるのです。合掌桁は一つの屋根の下に幾つもありますが、それらを結びつけ補強する何本もの丸太を結合させるために、藁縄と共に「ねそ」が使われています。
「ねそ」はマンサクの若木を水につけ、さらにそれをねじり、叩いて作った、粘りのあるしなやかな細い帯状のもの。これを用いて木と木を縛ると、強風や雪による屋根のたわみや、ゆがみに対応できる建築構造ができるのです。
もし「ねそ」を使わず、釘やかすがいを用いていたら、木がボキッと折れてしまうかもしれません。マンサクの樹皮の利用は豪雪地帯に住み着いた先人の知恵なのです。
●マンサクの名のいわれには諸説があります。早春に「まず咲く」からマンサク、花がたくさん咲くので「満作」はよく知られたところです。縮れた花弁が、熟さずにしなびてしまった「しいな」を連想させ縁起が悪いので、凶作にならぬよう、その反意語の「満作」と呼んだとの説もあります。実際、本種をシイナバナと呼ぶ地方もあるそうです。
(2月撮影)
●学内にはシナマンサクのほか、日本固有のマンサクがグラウンドの南側と体育館の北東の角、および中学校の北東に1本ずつ、アカバナマンサクが公衆電話ボックスの近くに1本あります。