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■ハナミズキ
■ミズキ科


花(5月撮影)

●過去40年でハナミズキほど数が増えた木はないかもしれません。1970年代始め、私の住んでいた町に、街路樹としてハナミズキが植えられましたが、その時ハナミズキは珍しい木として紹介されていました。その後ハナミズキは街路樹として大量に生産され、現在、東京ではイチョウに次ぐ2番目に多い街路樹となりました。

また、近年では新築家屋の庭先にも随分植えられています。これは、ハナミズキの花が立派で花期が長いこと、実も赤く目を楽しませること、木が強く管理が楽なことなどが理由でしょう。


実(10月撮影)

●ハナミズキの4枚の花びらは、実は花弁ではなく総苞(そうほう)です。総苞とは花序(花の順序よく並んだ集まり)全体を包んで保護していた葉の集まりで、花のつぼみを保護していた萼の存在と対比することができます。ハナミズキの花は、総苞の中央部に多数集合した黄緑色をした部分です。1つの花は花弁4枚、雄しべ4本、雌しべ1本から構成されます。


花(5月撮影)

多くの植物では、保護器官である萼や苞は、花弁より寿命が長いのが普通です。例えば、サルビアは夏の長い間、赤い花を咲かせていますが、よく見ると花弁はとっくに落ちていて、同色の萼が残っていることがしばしばあります。ハナミズキの花期が長いのも、魅せる部分が総苞であるためなのでしょう。


(5月撮影)

●日本のハナミズキは、明治45年(1912年)に米国へ寄贈したサクラに対する返礼として大正4年(1915年)に贈られたものが最初のものです。このサクラはワシントンのポトマック川沿いに植えられ名所となりました。しかし、日本へ贈られたハナミズキは、その後長い間、普及することがなかったのです。
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