●極上のビロードでくるまれたつぼみ。寒い季節に花を咲かすビワはたくさんの花を付ける枝もろとも、暖かそうな毛で覆われています。植物では花や葉の芽がうぶ毛で覆われるものが多くありますがこの毛は植物の未熟な部分を守っているのです。初夏に目立つ実をつけるビワですが、この季節、花に気付く人は意外と多くありません。近寄ってみてください。桜餅のような香りがしますよ。
葉(11月撮影)
●ビワの葉も新しいうちは表側、裏側共に柔らかな毛がたくさん生えています。葉が成長するにつれ、表側の毛は取れ光沢が出てきます。しかし、葉の裏側には茶色の毛がそのまま残ります。もぎたてのビワの実にも、細かな毛が生えていますが、鮮度が落ちてくると毛も落ちてしまいます。ビワは結構毛だらけの植物?!だったわけですね。
●ビワの実には大きな種が入っています。今、この種のないビワの品種が作られ、千葉県で栽培が始められています。まだ、市場には出ていませんが平成20年頃から市場に出始めるとのこと。種が無い分、2割ほど果肉が多くなっているそうです。
●種なしビワは3倍体の植物といって、細胞内に同じ染色体が3セット入っていますが、3倍体の植物は生殖細胞の分裂(減数分裂)がうまくいかないため、種を作ることができないのです。バナナやヒガンバナは3倍体植物の代表選手ですが、これは自然に生じたもの。これに対し3倍体のビワは人工的に作り出したものなのです。
●3倍体のビワを作るには、2倍体のビワをコルヒチンという薬品で処理して4倍体のビワの木を作ります。次に、2倍体のビワと4倍体のビワを掛け合して3倍体のビワを作るののです。昔、種なしスイカが流行りました。種なしビワと同じ方法で作られていましたが、手間がかかる(3年かかる)ので今ではほとんど作られていません。
(11月撮影)