花(9月撮影)
●ムクゲは知らなくても南国の花「ハイビスカス」を知っている人は多いはずです。実はムクゲはハイビスカス属に分類される植物です。ムクゲは大きな5枚の花びらの中に長い雌しべがあり、雌しべの軸の途中から多数の雄しべが出ていますが、これはハイビスカス属の植物すべてがもつ特徴です。ブッソウゲ、フヨウ、モミジアオイ、ケナフといった植物はすべてハイビスカス属の植物で、花の構造はよく似ています。ちなみにブッソウゲというのは、よく「ハイビスカス」の名前で呼ばれている種類の和名です。
八重咲き(8月撮影)
(8月撮影)
●ムクゲの原産地は中国といわれ、中国では木槿と書きます。日本へは平安時代に渡来し、「もくきん」が「むくげ」に訛ったとも、韓国での呼称、無窮花(ムグンファ=むきゅうげ)が訛ったものともいわれます。ただ、「ムグンファ」が使用されたのは李氏朝鮮時代以降のことで、それ以前では「モクグン」(木槿)、「グンファ」(槿花)、または「スン」(舜)と呼ばれていました。もし、「むくげ」が「ムグンファ」から転じたのならば、それは室町時代以降のこととなります。「ムグンファ」は終わりが無い花の意味で、夏から秋にかけ長期間咲き続けるこの花を愛でたものでしょう。
韓国では民族に愛され続けている国を象徴する花と捉えられていて、毎年、各地でムグンファ祭りが開催されます。また、韓国鉄道の地方都市間連絡用特急列車の名前はムグンファ号です。