■ウツギ
 ■アジサイ科

 


枝 (5月撮影)

● 枝を折ると中空です。それが空木(うつぎ)の名の由来。 枝自体は比較的折れやすいのですが、材は硬いため、古代から火起こしに使われていました。ウツギの棒をヒノキやスギの板に当て、錐のようにもみ、摩擦熱で火をおこします。遺跡から発掘される火起こしの棒には他の植物も見られますが、火起こしの性能はウツギが一番よいそうです。また、ウツギの枝はたくさん刈り込んでも、よく萌芽が出るため、都合がよかったのでしょう。


花 (5月撮影)

●写真のウツギは八重咲きのものでサクラウツギとも呼ばれます。 一重咲きのウツギでは、雄しべの軸(花糸)が横に翼状に張り出します。 そして、その先に花粉袋である葯(やく)をつけます。翼状の花糸の色と質感は、花弁とよく似ているので、 一重咲きであっても、一重以上の華さが醸し出されます。

●ウツギは「卯の花」とも呼ばれます。旧暦の「卯月」は新暦の5月ですが、 卯月の語源は卯の花が咲く月というのが定説となっています。

●ウツギは以前、しばしばユキノシタ科(バラ目)に分類されていました。目(もく)というのは、 幾つかの科をまとめた上位の分類グループです。しかし、近年のDNA解析結果により、本種をミズキ目の アジサイ科に分類することの妥当性が示されています。

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