■エノキ
■ニレ科
●大学構内で7番目に数が多い木で、高さは20メートル以上になります。また、ちょっと外れた場所に生えている木が多いのも特徴です。エノキは秋に橙色の実をたくさんつけます。実は甘いので、鳥がよく食べます。その鳥がフンをすると、消化されなかった種子が散布されます。実際、構内では実生(みしょう)の幼木(50センチ以内くらい)をいたるところで見ることができます。
大学構内の外れたところに生えるエノキの大木は、おそらく鳥が散布した実生の木が、刈られずに、また抜かれずに育ったものなのでしょう。
●エノキはケヤキと同じニレ科の植物です。ケヤキが箒のように、太い枝を上に向かって伸ばすのと違い、エノキはもっと横方向にも太い枝を伸ばします。このため、より「こんもり」とした樹形となります。エノキは「榎」と書きます。これは夏に木陰を作ることから、日本で作られた国字なのです。エアコンのない時代、夏の木陰は大切です。このため、江戸時代の一里塚には、しばしばエノキが植えられました。今日でも、二本榎、三本榎などの名前が各地に残っており、当時を偲ぶことができます。
●エノキはたくさんの花を咲かせますが、それは小さく、また花被片(花弁と萼を総称する用語)が淡褐色のため目立ちません。葉は両面に毛が生えていて、触ると少々ガサガサしています。葉脈は葉の裏では盛り上がり、また葉の付け根の部分から3主脈が目立つのも特徴です。葉の色は、ケヤキと比べると、より濃い緑色をしています。
●落葉樹の落葉の時期は植物によって異なります。構内で比較的早く丸坊主になるのがケヤキです。これに対してエノキは最後に落葉する木の一つです。ケヤキが落葉しても、まだエノキには緑の葉と、茶色から黄褐色の葉、そして部分的に緑が薄くなり(クロロフィルが分解されるためです)少々透明がかった葉が付いています。このため、初めてエノキを探す人にとって、12月中旬は意外にもお勧め時期なのです。
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