■カリン
 ■バラ科


花(4月撮影)

●遣唐使の時代、中国から日本へ持ち込まれた植物は随分ありますが、カリンも その一つと言われています。唐でさまざまな事を学び帰国した空海は821年 現在の香川県にある日本最大の溜池「満濃池」の修築工事を指揮しました。 その時、空海は宿とした矢原家の庭に、カリンを植えたとの伝えがあります。 今日、その屋敷跡には二代目にあたるカリンの木が茂っています。

●秋に収穫される大きな黄色の果実には、たんやせき止めの効果があり のど飴にも使用されています。


実(11月撮影)

●カリンによく似た植物に「マルメロ」があります。こちらの実も大きくて黄色。芳香がありとても美味しそうな果実ですが、固すぎて生食できないこともそっくりです。しかも、カリンと同じく実のシロップ漬けや果実酒は、咳やのどあれに効くのです。

●今日、長野県諏訪市では日本の6割のカリンを生産し、それを加工した食品を作っています。ところがこれはマルメロが主体。諏訪地方では昔から、マルメロのことをカリンと呼んでいたのです。今やJAS法上、原材料名は正しく表記しなくてはならないご時世で、農水省もいろいろな食品に対して細かに指導するようになってきました。このため、諏訪市ではカリン加工食品は昔から続く一つの文化と考え、商品名と原材料とを区別して表示することを提案するなど、時代に対応する工夫をするようになりました。


(4月撮影)

●マルメロの花はカリンより白っぽく、葉の縁にはギザギザ(鋸歯)がありません。また、カリンの果実が西洋梨形なのに対し、マルメロはより球形で表面が細かな毛で覆われます。

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