■ギョイコウ
■バラ科
●日本にあるサクラは栽培品種を含めると600以上の種類があります。中でも御衣黄(ギョイコウ)は変わり種。咲き始めの花は完全に緑色ですが、次第に花びら(花弁)の中央に写真のような赤い色が出てきます。この緑色の正体は葉緑素。葉に含まれるものと同じで、花弁の裏側には気孔も存在します。花は葉から進化したと考えられていますが、それを彷彿させるサクラの品種です。
●日本の山野に自生するサクラの仲間は意外と少なく10種ほど。多くのサクラの品種は自然交配や人為交配、そして実生の人為選抜によって生み出されたものです。特に江戸時代以降、その数は増えたと言われています。このため、栽培品種の多くは、交配した親の種が何であるか不明です。ギョイコウも片親はオオシマザクラ系のサクラと考えられていますが、もう片方の親は不明です。ソメイヨシノでは遺伝子による研究も行われています。しかし、その結果は、父親はオオシマザクラで、母親はエドヒガン系のコマツオトメのような品種であろうという推測の域を越えないものです。
●学芸大にある樹木の中で、最も数が多いのはソメイヨシノで約300本。これにヤマザクラ、ヤエザクラ(サトザクラ系)、シダレザクラ(エドヒガン系)の品種を合わせると410本以上となります。
●緑色の花を咲かせる植物は、あまり多くありません。しかし、シュンラン、ハナイカダ、ツルウメモドキ、ハナイカリ、ツタ、レンプクソウなど、どれもが葉緑素を含んでいます。緑の花は、葉や茎と同じ色のため、ちょっと気付きにくいものですが、目を光らせていると意外と見つかるものです。頑張って探してみましょう。
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