■キンモクセイ
 ■モクセイ科


花(10月撮影)

●たくさんの小さな花をつけるキンモクセイですが、その実を見たことがありますか?おそらく見た人は誰もいないでしょう。それもそのはず、江戸時代に中国から日本へ持ち込まれたのが花が多くつき、香りも高い雄の木で、その後は種子からではなく、取り木で株が増やされたのです。

●キンモクセイの香りは秋を代表する香り。ふつう、花の香りは虫を呼び集めるためと考えられますが、ほとんどの虫はこの香りが嫌いで、わずかにアブの仲間だけが花を訪れます。

●花を拡大すると、2本の雄しべの真ん中に雌しべの痕跡が見られますが、これは未発達のもので、花粉が付いても実をならすまでにはいたりません。


花(10月撮影)

●キンモクセイの香りは何種類かの成分が混合したものですが、その1つに、ガンマーデカラクトンがあります。この成分は甘いピーチにコンデンスミルクを加えたような匂いで、ベリー類やココナッツ、乳製品にも含まれています。そして、この成分の匂いが多くの虫に嫌われるのです。

●中国ではキンモクセイの花を乾燥したものを「桂花」と呼びます。桂花はいろいろな料理に使われています。今風に言えばハーブティーの桂花茶、白ワインに漬け込んだ桂花陳酒、砂糖や蜂蜜につけた桂花はデザートの香り付けにも使われます。

●中国の桂林周辺の山野にはキンモクセイやギンモクセイが多いそうで、地名はこの植物に由来したという説があります。ここには「雌」の木もあるそうですが、花粉を運んでいるのは、やっぱりアブの仲間だけなのか、ちょっと気にかかるところです。


(10月撮影)

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