■コムラサキ
 ■クマツヅラ科


実(9月撮影)

●コムラサキという同じ名前の蝶々がいるのをご存知ですか? 翅を広げると褐色とオレンジ色の縞の中側に紫色が広がるきれいなチョウです。 これより少し大きな“オオムラサキ”は国蝶となっているので有名ですね。ところが “オオムラサキ”というこれまた同名の植物があります。こちらはツツジの仲間で 学内にもたくさん植えられています。紫は古来より高貴な色とされていたため 植物や昆虫のネーミングでは引っ張りだこになっていたのかもしれませんね。

●そもそも名前は“もの”を区別するために付けられるものですから、違う“もの”が同じ名前を持つことは、具合の悪いことなのです。けれども、分類が全く異なる生物では、たまに同じ名前が見受けられます。

例えば“カジカ”は魚とカエルに付けられた名前。“ゴンズイ”は植物と魚に付けられています。

また、異なる植物でも、古名と現代名で名前が同じになってしまったものもあります。春の七草で有名な“ホトケノザ”は、今日、呼ばれるところのシソ科のタビラコではなく、キク科のタビラコのことです。万葉集でアサガオと詠まれている植物は、今日では意外にもキキョウです。


花(月撮影)

●植物のコムラサキによく似た低木にムラサキシキブがあります。こちらは葉や実がやや大きく、実は、よりまばらに付きます。園芸店では名が通りやすいためか、コムラサキのことをしばしばムラサキシキブと言って売っています。ムラサキシキブというと平安時代の女性作家、紫式部を思わせますが、紫色の実がたくさん重なるように実る、あるいは敷き詰めたように実ることから、ムサキしきみ(紫重実あるいは紫敷実)と呼ばれたのが始まりのようです。


葉(9月撮影)

●ムラサキシキブは大学内では20周年記念飯島会館と弓道場の境の塀際に1本生えています。コムラサキの花が7月に咲くのに対し、こちらは6月中旬から咲き始めます。

(9月撮影)

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