■サルスベリ
■ミソハギ科
●散れば咲き 散れば咲きして 百日紅 (加賀千代女)
サルスベリは夏の間、咲き続ける植物です。中国では百日間も咲いているという意味で百日紅と書きました。実際は同じ花が100日間も咲き続けることはなく、一度花が咲き終わった枝先に、新たな花が咲き、それが続くのです。ですから、加賀千代女の俳句は大正解、正しい観察に基づいた一句と言えるでしょう。
●チューリップでは、花は茎の上に1つだけ付くので、花の構造は容易に観察できます。ところが、サルスベリのように、幾つもの花が房状に枝につき、しかも、一つの花の花びらが縮れていたりすると、花の構造を理解しようとする人は少なくなります。これは、細い花弁と赤くて長い雄しをもつヒガンバナでも同じ傾向が見られます。
英語でサルスベリはCrape-myrtleと呼ぶのですが、これを訳せば、チリメンひだのあるギンバイソウ(ギンバイソウというのは多数の長い雄しべを持つ植物)となります。チリメンひだは当然、サルスベリの花弁のことを意味しています。サルスベリの花の構造はいったいどうなっているのでしょう。
●サルスベリは数性が6の珍しい植物です。萼は6枚、花弁も6枚です。そして、中央には雌しべと多数の雄しべがありますが、その周りをより長い6本の雄しべが取り囲んでいます。また、果実は内部が6つに分かれています。これが一つの花の単位となり、円錐状に並んだ花の塊(円錐状花序)を作ります。
●サルスベリの幹がつるつるしているのは、成長するにつれて表皮が剥離してしまうためです。残念ながら猿はこの木に登れるようですが、つる性植物が絡みついているのは見たことがありません。
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