■サンシュユ
 ■ミズキ科


つぼみ(3月撮影)

●黄色のチューリップを、たくさん水盤に生けたように見えますが、これは 開花直前のサンシュユの花の集合(花序)です。左側に1つだけ開いた花が ありますが、全部開花すると、こんもりした半球状の花の集合体ができます。 水盤に見えるのは、たくさんの開花前の花をまとめて守っていた「苞(ほう)」で 全部で4枚。「がく」は開花前の1個の花を守りますが、苞は集団の花を包むこ とで材料を節約する、いわば省エネタイプの花の保護装置(器官)なのです。


花(3月撮影)

●サンシュユはマンサクと一二を争う早さで春を告げる植物で、2月にはすでにつぼみが見られます。葉が芽吹く前に開花し、樹木全体が黄色く見えるため、ハルコガネバナの名称もあります。また、秋にはグミの実のような真い実を付けるため、サンゴバナとも呼ばれています。


実(11月撮影)

●学内で苞をもつ植物には、ハナミズキやヤマボウシ、ドクダミがあります。これらの苞が花びらのように大きく目立つ存在なのに対し、サンシュユのそれは小さくて、開花後は花序に隠れて見えにくくなります。

●成木になると、木肌が多数めくりあがります。このめくりあがり方はサンシュユの特徴で、花や実や葉が無くとも、極端な話、枯れ木になったとしても、幹の木肌さえ見ればそれがサンシュユとわかるほどです。


(3月撮影)

●原産は中国や朝鮮半島で、江戸時代八代将軍吉宗の頃に、薬用として種子が持ち込まれました。中高年用の漢方薬として知られる八味地黄丸には、サンシュユの果肉が配合されており、強壮、めまい、耳鳴り、遺精、腰痛、動脈硬化、頻尿、などに有効とされています。

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