■トウカエデ
 ■カエデ科


実 (8月撮影)

●1721年に中国から渡来したカエデで「唐」カエデ。秋には橙〜赤色に紅葉します。 日本に自生する他のカエデ類と異なり、生育場所は山中ではなく平地です。これは、人が植樹したためですね。

記録によれば、八代将軍徳川吉宗が将軍家の植木職・伊藤伊兵衛に、ミヤマカエデに接ぎ木したトウカエデを栽培・普及するよう命じています。また、東京の街路樹には40,500本のトウカエデが植えられています。この数は第4位。ちなみに、イチョウ・ハナミズキ・サクラが1位から3位を占めています。


葉(8月撮影)

●享保の改革にあたった吉宗は、民衆の心を和ます施策を植物についても行いました。カエデだけではありません。江戸城内にあったサクラの木を、飛鳥山(王子公園)へ移植し桜の名所を作り、庶民の娯楽の場としました。

●吉宗の植物施策を実行したのが、染井村(現豊島区駒込)で植木生産をしていた伊藤伊兵衛と言われています。伊兵衛は世襲の名前で、吉宗の時代は三之烝と政武の親子が活躍しました。

伊兵衛は人為交配による新種や珍種を作る技術を持っており、総合園芸書も何冊か残した研究家でもありました。ソメイヨシノも伊兵衛による交雑・育成と考えられています。


(8月撮影)

●世界にはカエデの仲間が200種ほどあります。そのほとんどが北半球にあり、南半球にはわずか1種のみ。日本には20数種が生育します。

カエデは葉の形が種類毎に違います。また、紅葉したときの色も、赤、橙、黄色とさまざまです。このため、子どもに植物の多様さを学ばせるための良い教材となります。秋の遠足時にクラス全員でモミジの葉っぱ集めと分類をしてみるのもよいでしょう。

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