■ハクウンボク
 ■エゴノキ科


実(9月撮影)

●ブドウのように、枝から垂れ下がった果実の房が特徴的です。そして、丸く大きな葉もハクウンボクを印象づけます。葉の裏側には星状毛といって、たいへん小さな放射する毛が密生していて、葉全体が白く見えます。花は5〜6月。エゴノキによく似た白い花が房状につきます。その結果、写真のような付き方をした実が成るのですね。

ハクウンボクは別名をオオバジシャと言いますが、チシャノキというのはエゴノキの別名なのです。ハクウンボクはエゴノキ属の植物で、エゴノキよりはが大きいため、この別名がつきました。


実(9月撮影)

●学名は通常ラテン語で書かれます。ギリシャ語が用いられる場合もありますが、それほど多くはありません。ハクウンボクの学名はStylax obassia(スティラックス・オバシア)ですが、obassiaはラテン語では無く、日本語のオオバジシャに由来しています。珍しい例ですね。命名者はシーボルトとツッカリーニ。

シーボルトは日本に滞在し日本人妻もめとったくらいの日本通です。ツッカリーニはミュンヘン大学の植物学の教授でした。2人は共同で日本の植物について詳しい研究を行い、フロラ・ジャポニカ(日本の植物相)という本をまとめています。1835年、日本では坂本龍馬が生まれた年のことでした。


(9月撮影)

●広葉樹の木材には木目がはっきり見えるものと、あまり目立たないものがあります。前者は環孔材といって、大きな導管(直径0..1〜0.3ミリ)が年輪に沿って配列します。この材を縦に切れば、木目が明瞭に見えるのです。ケヤキ、ナラ、キリ、クリ、ニレ、チークなどがそうです。

これに対し、1年の年輪層内に、比較的小さな導管(直径0.02〜0.15ミリ)が均一に散在するものがあります。これを散孔材と呼びます。木目ははっきりしませんが、木材のは均質です。ハクウンボクは散孔材で、このほかクスノキ、ブナ、ツゲ、ホオ、サクラ、カツラ、シナノキなども散孔材です。

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