■ハナカイドウ
■バラ科
●花から伸びている長い枝のことを花柄(かへい)と呼びます。ハナカイドウやサクラは花柄が長いことが特徴です。
これに対し、ウメやモモは花柄がとても短い植物です。花柄の長さは果実にも表れます。サクラの果実やサクランボ(サクランボはセイヨウミザクラの果実です)には、長い柄がついていますが、あれは花柄の部分なのです。ウメやモモの果実にはお印程度の柄しかついていませんが、これは花柄が短かったためです。そうなると、ハナカイドウは果実が実れば、長い柄をもつことが予想できますね。
それでは、リンゴの花の花柄はどうでしょう?答えはお察しの通り、長い花柄がついています。
●ハナカイドウの属名はマルス・ハリアナ(Malus halliana)といいます。マルスは古代ギリシャ語のμηλον(ミーロン)に由来したラテン語でリンゴのことです。つまり、ハナカイドウはリンゴ属の植物なのです。ですから、リンゴの学名はマルス・プミラ(Malus pumila)(プミラは矮性という意味)です。
●リンゴ属には約30種があり、北半球の温帯に分布しています。この中から品種改良がおこなわれ食用となったのがリンゴで、ハナカイドウは観賞用に改良されたものです。カイドウは「海棠」と書きますが、これは海外からきたヤマナシ、あるいはズミを意味します。
●唐書の楊貴妃伝に「此眞海棠睡未足耶」との一文が出てきます。日本語訳は「これまさに、海棠(カイドウ)の眠り未だ足らずや」となりますが、これは、唐の玄宗皇帝が、まだ酔い醒めきらぬ楊貴妃の艶めかしい美しさを海棠になぞらえて評したものです。中国では古くから海棠は牡丹と並び称されてきた植物なのです。
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