■ヒサカキ
 ■ツバキ科


花 (4月撮影)

●釣り鐘形をした小さな花が、枝に下にびっしりと並びます。ヒサカキは葉がほぼ一平面に並ぶように枝に付くため、枝の下には花がよく見える空間が生じます。

神事で使う玉串には、本来は「サカキ」を使用するのですが、関東より北ではサカキが入手しにくいため、代わりにヒサカキを使用します(玉串とは参拝者や神主、巫女が神前に捧げる、幣(ぬさ)をかけた、葉の付いた木の枝のことです)。サカキは葉がほぼ一平面に付くので、同様の性質をもつヒサカキは都合が良いのです。


(4月撮影)

●サカキは「きへん」に「神」と書きます。ヒサカキは本物ではないサカキ=「非」榊、あるいは小ぶりの葉をもつサカキ=「姫」榊の意味と言われています。ヒサカキに比べサカキの花は大きくて夏に開花します。またヒサカキの葉が鋸歯を持つ(葉の縁にぎざぎざがある)のに対し、サカキは全縁(葉の縁にぎざぎざがない)です。

●つぼみは暗紫色で、写真では先端から、開花を待ちきれずに出た、3つに分かれた雌しべの先端が見えています。ヒサカキの花には3タイプがあります。@雄しべが10数本あり、雌しべの退化した花をつける花、A花粉を作らない退化した雄しべと、種子を形成できる雌しべをもった花、B雄しべも雌しべもつける花です。

大学構内で咲くヒサカキの花は、雄しべも雌しべも持っていますが、今まで果実をつけたことがありません。今後、成長すると果実をつける可能性もありますが、機能が不完全な両生花なのかもしれません。

●ヒサカキの花は普通の花とは全く異なる独特の香りがします。匂いを文字で表すのは難しいのですが、たくあんのような匂い、インスタントラーメンの粉末スープの匂いなどと表現する人もいます。皆さんも一度是非、ヒサカキの匂いが何の匂いに似ているか確かめてみましょう。

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