■ヘクソカズラ
■アカネ科
●べっこう色に輝く実が、鞠のような塊になって幾つも付くつる性の植物で 金網や樹木に絡み付いて成長します。実の形が美しいのでリース飾りにも使 われることもあります。ところが、名前がよくない。 「屁糞蔓」。 ダブルで臭う! 実際、葉が青々している頃、葉や茎を揉んでみると、嫌な匂いがします(今の 季節はもう臭いませんが)。これは、虫に食われないための植物の知恵なのです。 花は白い花冠の中央部が赤くて可憐です。ホームページで確認しましょう。
●ヘクソカズラの葉を揉むと、組織が壊れ、酵素の働きで悪臭を放つ物質ができます。これはメルカプタンといって、人間の体内でも生成され、おならや便の臭いの原因物質となっています。また、悪臭を放つことで有名なスカンクの臭いの元も、このメルカプタンです。
●ヘクソカズラの場合、メルカプタンは細胞の中では他の物質と結合することで臭わない物質になっていますが、細胞が傷つくとこの結合が切れ、揮発性のメルカプタンが生じるのです。このため、虫が葉を噛んだ途端に悪臭が発生し、それを嫌って虫は逃げていくのです。ヘクソカズラにとっては、これはもう究極の食害防御策ですね。
●人間の鼻の、臭いに対する感度は物質によって異なりますが、メルカプタンに対する感度は非常に高く、悪臭の代表格であるアンモニアに比べ1500倍もの感度をもつといわれます。人間は極微量でもこの臭いを感知できるため、メルカプトンはガス漏れ検知のために、ガスの臭い付けにも使われています。
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