■ミツマタ
 ■ジンチョウゲ科


花(4月撮影)

● 日々の生活で、最も関わり合いのある植物は何でしょうか?ミツマタはその一つ。あなたのお財布の中にあるお札は、ミツマタの樹皮から作られた和紙でできているのです。ミツマタの繊維は長いので、何遍折りたたんでも破れない、強いお札を作ることができます。ミツマタの名前は、1本の枝から3本の枝が分かれることに由来します。これは、他の植物には見られないミツマタ特有の方式です。


花(4月撮影)

●誤って衣服と一緒にお札を洗濯してしまった経験をもつ人もいるでしょう。その時、お札は切れたり、ほぐれたりすることなく、無事だったに違いありません。ところが、メモ用紙やレシートなど普通の紙を洗濯してしまうと、ちぎれたり、溶けたりして、ぼろぼろになってしまいます。これは、和紙が洋紙と比べ、長い植物の繊維が絡み合ってできているためなのです。

●和紙の原料となる植物は、ミツマタ以外に、コウゾ、ガンピが有名ですが、その他、アサ、イラクサ、バショウ、カジ、マユミなどからも作られています。それぞれ原料となる植物によって、できあがる和紙の風合いが異なります。
コウゾから作る和紙は最も生産量が多く、半紙など書道用紙、障子紙、版画用紙などで使われています。ガンピは栽培することが難しく、天然物を利用することが多いため、生産量が少ないのですが、できあがりはすべすべした感じの和紙になり、日本画用紙、箔打ち紙、ふすま紙などに利用されています。


(4月撮影)

●ミツマタからできる和紙は、紙幣や賞状に使われることが多く、紙幣の原料となるミツマタは岡山県北部山中の斜面にて大量に栽培されています。日本の紙幣は明治時代にミツマタの繊維を漉いた和紙でら作られて以来、その伝統を受け継いでいるのです。

 ■ 戻る


Copyright 2012: S. Mayama. All rights reserved.