Reading a Paper on Topic 4
英語学習と文化的バイアスについて
第11回は「英語学習と文化的バイアス」に関わる、既修了生の修士論文をもとに議論を行った。
【修士論文:English Teachers' Attitudes Towards Varieties of English: A Re-examination】
英語を聞いたときの好感度(favorability)は、純粋に音声のみを聞いた時と、スピーカーの国籍が明らかになった時で異なるか
【目的】
音声のみを聞いた時と、スピーカーの国籍を明らかにしてリスニングを行った際、聞き手の好感度(favuorability)は変化するのかどうか調べる。
→英語教員、大学生、中国人留学生から成る142人に2つの英語の例文の聞き比べをしてもらい、favorabilityを3段階で評価してもらった。音声の種類は全8種類である。A.音声のみの場合とB.スピーカーの映像付きの場合で評価が異なるかを調査した結果、
@好感度の判断には、スピーカーの母語への親しみやすさが影響を与える
A好感度の判断には、スピーカーの国籍に対する聞き手のattitudeが影響を与える
という仮説が支持された。
◆議論した内容◆
1)教員の評価がブレなかったのは、standardな音が入っていたから/評価するという行為に慣れているからではないか
→むしろバイアスがあると言えるのではないか
2)海外滞在期間の長さよりも個人の英語力によってattitudeは変わるのではないか
3)国籍を明らかにするのではなく、嘘の国籍を教えて実験してみてはどうか
4)「バイアス」とは何か、「文化」とは何か
→恣意的なものがはたらけばバイアスと言えるのではないか
→頭の中にある「○○に関するイメージ」が文化なのではないか
5) 観点別評価の「言語文化」は何か、どう扱えばいいのか
→言語を教える上で入らざるを得ない要素だとは思うが、目標として達成度を測るのは困難
◆金谷先生のコメント:
・もしも海外滞在の期間がattitudeに影響を及ぼすのであれば、教員の研修も考え直す必要が出てくるかもしれない。
・materialに問題があるとき、
@作り直す
A回数や被験者を増やして均す
方法がある。
・同じ論文であっても、解釈は人によって異なる。今日の論文も、attitudeとabilityには関係があるとも解釈できるかもしれない。
・日本の教員養成のシステムと文化的なもの・attitudeを英語教育と結びつけて考えることにはつながりがある。たとえば、なぜ免許状取得の必修単位に文学があるのか? そうした関連性や教員の意識を見る研究も有り得る。
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