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2010年度 金曜日 前期 英語教育学リサーチデザインA 2010.5.21
Research Design A

::::課題::::

未知語の推測?飛ばし読み?A
前回の議論をもとに、もう一度リサーチデザインを練り直すべし。前回作ったものとまったく違うもの、前回のをbrush upしたもの、今回議論した論文の改良版など、どんなものでも構わない。

 

受講者が持ち寄ったリサーチデザインについて自由に意見を交わしました。

◆受講者から出た主なデザインは・・・

・オンリーイングリッシュの授業を受けていると、意味を推測する力がつくのかを調べる研究
→「オンリーイングリッシュによる授業」がどのような授業を想定しているのかが曖昧
→オンリーイングリッシュによる授業だと推測力がつきそうだと思う根拠は?
→リーディングやリスニングにおける推測力と、授業でのインタラクションにおける推測力は別のものなのでは?


・速読トレーニングをすると、未知語の飛ばし読みができるようになるのかを調べる研究
→テストが速読タスクになっており、タイムプレッシャーがあるから未知語の飛ばし読みをするようになるのでは?
→飛ばし読みは重要な語じゃないと判断して飛ばしているわけではないのでは?
→重要語を未知語にするとどうなるのかを調べるのはどうか

・飛ばせない人は、英文を読むときに日本語に訳すクセがあるのかを調べる研究
→タスクの種類によって読み方は変わってくるのでは?
→「訳す」というのは一体どういうことか
→教師の指導法による影響が大きいのでは?
→未知語(人工語)は段落の最後ではなく途中に入れた方が良いのでは?


・未知語を推測するにはどのぐらいの手掛りが必要かを調べる研究
→推測した意味を修正する際、ボールペンで書かせて二重線で消させるようにすれば、痕跡が残るのでは?

・未知語の推測によって、語彙の保持率は高まるかを調べる研究
→推測が当たっていた場合と外れていた場合では、どちらの語彙の意味の方が定着するか

◆金谷先生のコメント:
※A3で印刷する人は、1部ずつ折ってから封筒に入れて下さい
・辞書を引く際、辞書を引きながら当てはまる訳を探すタイプと、訳語をざっと読んでイメージをつかんでから意味を考えるタイプがいる
・どういう授業をやればどういう効果が表れるのかというのは、介在する要素が多すぎて調べにくい→例えば「5分間こんなことをやってみたらこんな効果が出ました」という実験もあり得る
・ある現象が起こるのはなぜなのかをよく考え、それを確かめるような研究をすべし


::::次回の課題::::

必要な文法用語、不必要な文法用語
 だいぶ実証研究の考え方にも慣れて来た(?)と思います。3番目のトピックは文法用語です。「文法用語なんて古くさい!」と言わないでください。現実に、教育現場では文法指導は大切な教育の一部ですし、英語嫌いの原因の1つは文法だと言われています。そして、文法嫌いの1つの要因は、文法用語にあるかもしれません。

 名詞、動詞、自動詞、他動詞、受動態、叙述用法、原形不定詞、非人称のit、接続副詞、能動受動態、冠詞相当語、相関接続詞、相互複数…。高校生向けの文法参考書に出てくる用語ですこ全部わかりますか。

 授業で使っている文法用語、参考書や問題集に使われている文法用語。こうした用語は生徒の理解を助けているでしょうか。あるいは、かえって混乱させてしまっているのでしょうか。教師の説明をしやすくしているのでしよう。
 どの用語が必要で、どのような用語は不必要なのでしょうか。今回はそれを判断するのに役立つ情報を得るための研究です。

 切り口は随分とたくさんあるでしょう。名詞、動詞は必要だが、相関接続詞は不必要、などのように、異なる種類の用語を比べることもできます。また、「受動態」と「受け身」のように同じものを指していても違う用語がある場合、どちらが有用なものかを決めるための研究することもあり得ます。

 今回で3つ目のトピックです。そろそろ具体的で詳しい研究計画を作ってみて下さい。

リサーチ・デザインとは料理のレシピのようなものだと、私は常日頃言っています。レシピは人が見て、ちゃんとその料理を作れるようなものでなければいけません「塩、コショウそれぞれ適量」等と言われても、どのくらいが適量なのかがわかりません。

 研究もそれと同じで、計画をたてた本人でなければわからない部分が研究計画にあると、他人が実行することは出来ません。他人様にも実行してもらえる計画を立てるよう努力してみて下さい。

 もうすぐ6月。じめじめした季節になってしまいます。そんな時は、目のさめるようなリサーチ・デザインを作ってシャキッとしましょう。
 ガンバってネ!