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2011年度 金曜日 前期 英語教育学リサーチデザインA 2011.04.22
Warm up Activity

Graduate Seminar A on TESOL Research Methodology 2010

「英語教育改善にはどんな事実を明らかにすることが必要か」重要な順に3つ選び,その順位の理由も含めて説明する。

背番号12番
第1位 語彙サイズと文章の読みやすさの関係。←リーディングの教科書は高校から急に難しくなる。教員の見栄で選ぶのではなく,客観的に,生徒に合わせて選定ができるように語彙サイズのテスト作成が重要である。
第2位 教科書の音読練習は音声認識能力に寄与するか。 ← リスニングに必要な音声を聞き取る力を,リーディングの授業でしばしば行われる音読練習で養うことができるのではないか。
第3位 早期英語教育は母語発達にどのように影響するのか。 ←semilingualの問題もあり,小学校英語に対しては少し否定的。焼け石に水のような少ない授業数か,やるならとことんやるのか。どこまでやっても母語に影響しないレベルに留まるのかどうか。
次点  記憶ストラテジーを明示的に指導することは語彙のretentionに寄与するかどうか。 ←英語教育に限った話ではなくなってしまうので,涙を呑んで次点とした。
選定基準 事実が分かった場合の影響の大きさ,および個人差が問題となりづらく,多くの学習者に利益となるもの。

・1位は,語彙テストそのものの作成に興味があるのか? ← 語彙サイズも分かって,reading能力も予想できるテストがあればなあ。
・JACET8000のような大雑把なものよりも,もっと細かく測れるイメージか? ← reading levelと語彙サイズの相関ががわかるようなテストがあれば,教科書を選びやすくなる。
・readingとは,教科書を読むこと?
・教科書に何を求めるのか?
・大判,小判という現行の教科書会社による分け方は不満か?「見栄」で身の丈に合っていない教科書を選ぶ(「CROWN使ってます」と言えるステータス…)現実を変えたいのか?
・高校入試が,その語彙サイズを測るテストの役割を果たしているのではないか。 ← この入試の点数ならこの教科書,という選び方は主観的。客観的な基準がほしい。
・なぜ語彙テストなのか。reading testではいけないのか。 ← 語彙テストの方が実施しやすい。面倒くさいからやめたとなってしまっては困る。
・だから,readingとvocabularyの関係を明らかにしたい,ということか。
・語彙サイズの上限を決めると,授業ではすいすい読めたけど,入試では対応できなかったということが起きないか。指導要領の要求に満たない語彙サイズであった場合,そのギャップをどう埋めるか。 ← 使い初めにちょうど良い教科書を選べるようになってほしい。一つの教科書に,graded readersのように,grade1〜3があるようなイメージ。教科書はゆっくり進めて,いろんな活動を取り入れた方が成績が良かったというSELHino
報告があった。

☆教科書は,確かに生徒の実態に合わせて選ぶのがいいが,そもそも時期がずれている。カローラにしか乗れない人が来ても,クラウン買っちゃってあるから乗せちゃえ,では,評価しても意味がない。

・小中学校が義務教育なのに,1位から3位が高校→中学→小学校としたのは,なぜか。 ← たまたまそうなっていたか!1位が分かれば,授業全体が変わる。2位が分かれば,授業の一部が変わる。3位が分かっても,政治もからみ,何も変わらないかもしれない。
・小学校の英語教育の目的は「素地を作る」ということ。自分が研究したい分野だが,今回は入れなかった。 ← ☆自分の好みより,全体のpriorityを考えたのはえらい!

背番号3番
第1位 自律的な学習者を育てるために必要な指導 ← どういう人物を作り出すことが目的かといえば,学校を卒業しても勉強を続けられる人間。そのCan Do Listができていない。
第2位 言語項目の習得順序 ← 教科書は学びやすい順番で文法が配列されているか。
第3位 質の高い教育を行うための環境 ← 先生にとって教えやすいとは。先輩が来て「教師にはならない方がいいよ」忙し過ぎる。小学校の1クラスを40人から35人にするという文科省。

・この順位はなぜか。自分なら,ちょうど逆にする。 ← 順番の理由は自分でも答えがなかなか出せない。
・第3位は教員の問題で,これがいやならやめればいい。第1位,2位は生徒を中心に考えているから,この順番でいいのではないか。自分で考えることが自主自律であるから,自主自律とは何かと定義してしまうこと自体が自律的でないかも。
・卒業した後は,自分で続けられるように,そのときに必要な知識をつけておけばいいのではないか。
・ある程度の英語力があれば,学習を続けると言えるのか。
・必要に迫られて勉強するのでは自律的とは言えないのか。 ← 言えないと思う。英語が好きで勉強するのでなくてはいけない。
・英語教育を改善する事実という今日のテーマとずれるのではないか。朝5時に起きて,自動販売機に補充する仕事をしながら,楽しみで英語を勉強する人を作るということ? ← 英語科教育,つまり先生がどのように教室で生徒を育てるかと考えた。
・学校教育の中でどう育てるかと考えているのに,なぜ生涯学習をもってきたのか。 ← 学校を卒業した後,何かをやってほしい。その基礎を作るために,学校で先生がなにかをするべきだ。
・他の教科でも同じではないか。英語科に特化したものではないのでは。

・speakingという点から第2位の言語項目の習得順序について興味がある。習得順序と教科書の順序は違う。習得順序が役に立つのではないか。
・教科書と習得の順序は一致していなくていいと思う。教科書で一度やったからといって身につくわけではなく,AとBという項目で,身に付きやすいのはAだが,Bからの方が説明しやすい,ということもあるのではないか。
・習得順に沿った教え方は効果があるという研究はない。
・塾の講師をしているが,塾では習得順で教え,学校では関係なく教えるという役割分担ができたらいい。
・習得は難しいが,speakingに役立つ項目,というのもあるのではないか。
☆'70年代,単純な文法項目,冠詞とか,-edとかの10項目が,学習者の習得する順序が一致するということで,みんな熱中したが。日本の教科書は,習得順とはほぼ無関係だという研究をした人が3人くらい。文法項目とは,相互に関連しているものなのか,していないものなのか。冠詞と-deのように関連していないものをどのように教えるか。中学校で「今日は「語順」を勉強します」ということはやりようがない。今までは語順が含まれていなかったのかということになってしまう。2つ数値を並べると,何もなくても何かは出る。文法好きの人はenjoy+doingなどlocalなものにこだわる傾向があるが,大筋は何か?まだやられていない研究だが,やってもいいかな。

背番号11番
第1位 授業は(文法説明の時を除いて)all Englishで行われる方が良いのか。← 文科省から通達は出たが,現場には不安や批判。all Englishでは,よりcommunicateしようとするのか,それともやる気がなくなってしまうのか。
第2位 文法は習得する順番に教えれば効率よく習得できるのか。
第3位 教科書の内容はどのような影響を与えているのか。 ← 教科書の内容はどのような影響を与えているのか。中学生が話しやすい題材を取り入れた方がいいのではないか。
順位の理由 listening→speaking→reading→writingという指導順序がいいと聞いたいことがあるので,listeningが大事と思い1位にした。

・listening→speaking→reading→writingという指導順序がいいと,自分でも思う理由は? ← listeningは目に見える反応がある。speakingは活動がある。文字は後でもいいのかな。
・listening→speaking→reading→writingという順番は,母語習得の順番だからいいと聞いたことがある。all Englishで,communicationやmotivationに注目している理由は? ← all Englishでやる必要があるのか。英語の入り口で,英語やだ,となっては困る。
・人によるのかな。上手な先生なら,all Enlishでもうまくいくし,all Englishでなくてもうまくいく。題材も生徒による。一般的に知るべきことか。
☆all Englishは,生徒が英語を使うということ。その中で,教員も使っていく。常識的に考えて,all Englishが絶対的にいいということは絶対的にない。授業で一言も英語を使わないけど,てきぱきやっているからいい,ということにはならないかもしれないが。native speakersが教えることが一番いいとはならない。(all Englishを実施した)旭川北高校では,listeningの成績は下がってしまった。教室ではface-to-faceであり英語以外のところで理解できる。テストのような場面で純粋にlisteningすることに最初は対応していなかった。私立の学校では,immersion教育しているところもあるが,生徒は全く英語を話していない。指示も例えば体育ならnon-verbalで伝わる。外国人の先生に対するバリアはなくなるだろう。教科書の題材は,研究して分かるものではない。好き嫌い。「趣味の問題」と言う人もいる。「本文があるからいかん。文例集のようにしたらいい。」

背番号18番 3位から話します。
第3位 多読で300万語読めば,その人のwpmはその人の最大値に限りなく近づく。
第2位 生徒は集団vs先生一人という構図より,一人vs先生という構図の方が恥ずかしがらずに話すことができる。← 発言は話したい生徒だけでよい。
第1位 英語を1日1回は絶対に授業を行えば,生徒もあきらめて英語を勉強するようになる。
どの教授法であっても,生徒のmotivationがなければ,うまくいかないと考え,この順序にした。

・数学の授業がまいにちあったが,本当にいやでmotivationが下がった。
・あきらめて勉強するのではなく,勉強をあきらめてしまう…。
・あきらめて勉強させることに意味があるのか。第2位について,一対一のspeaking能力は,本当にspeaking能力か。日常の中では一対一でないことも多い。プレッシャーの中で話すことにも意味があるのではないか。
・先生と一対一の方が緊張する。話さなくてもいいとなると,だらけてしまう。発問と解答の間で,頭の中で必死に考えることが大事。今日の授業は話したい人だけ,次回は全員に話してもらうというのはどうか。
・クラスサイズとspeaking授業のやり易さ。
・pair work,group workも考えられる。 

☆常識で分かること,関わる要素が多すぎて分かりようがない,という2つのことは,研究にふさわしくない。第1位,第2位は人による。A先生なら話してもいいけど,B先生はちょっと…。pair workが楽しいかというと必ずしもそうではない。「専門家でもない人のまちがった英語を聞くのはいやである。日本人同士で不完全なものにexposeされるのも耐えられない。」第3位は,その人の最大値であることはどう分かるのか。どういう効果があるかを見ることはできる。でも,300万語読んだら,多読しかできないということはないだろう。多読の原則:分からなければ跳ばす,つまらなければやめる。少しは知識が入っていないと読めない。第1位について,附属世田谷中学校で,英語の授業が1年6時間,2年3時間,3年3時間ということをやった。1年6時間は英語嫌いを作ってしまわないか,という危惧は当たらなかった。間を空けて英語をするよりも毎日やった方がよかった。補習対象人数がこのやり方で減った。ただし,授業のないようにもよる。いろんな要素がある場合,他の影響を排除して,臨んだ結果だけを得るのは難しい。授業にはいろいろな要素が入ってくる。途中で塾に行ってしまうかもしれない。一回だけなのか,1年続けるかでも違う。そこがいつも悩みの種になるだろう。多読,授業の頻度,授業の形態,他は?

背番号8番
第1位 英語習得には短期集中の期間が必要か。← 長くやればいいってものではないのかなあ。英語の達人は,短期集中で学んでいる。短期集中がいいなら,小学校からやらなくてもいいのではないか。
第2位 音読の効果とは? ← 英語ができる人は,音頭をしてきている。音読の効果は明らかにするべきだ!
第3位 ALTとの関わり方 ← もっといい関わり方があるのではないか。
順位の理由は,1位は大きな問題,2位は日常的なもの,3位はあった方がいい。

・音読する目的は何だったか。 ← 先生に聞いたら「活気が出る,英語を話せるから」と。定着するとは,覚えて+使えてということか。音読で,どんな定着が起きるのか。表現の定着はあるだろう。使えるまで行くのは不十分だろう。その先にさらに何かをやるから英語は伸びるが,その根底にあるのは音読なのではないか。欠かせないものではないかもしれないが。

☆音読をしない文化もあるが,そこでは外国語を習得しないわけではない。クラスサイズが大きいところでは比較的音読をする。人数が多いと,自分の声がかき消されてやり易い。10人くらいだと…。音読は人数が多ければ多いほど,どんどん声が出てきてすごい。授業運営上の演出。音読=勉強という文化的背景もあるのでは。他国ではあまり日本のようなALTはいない。日本のTTは不思議な形態。今はALTに指示も出せない。teamとは名ばかり。2人で教えているだけでteamとはいえない。もともと日本への黒字減らしの要求から始まったとも言われるが。ALTは,研究するということになるか。第1位については,絶対量とintensityの両方が必要だろう。うまくなった人は,1,000時間を1年で,と言う。中学高校週に3時間だと,6年間でも1,000時間にも到達しない。これは,A先生だからいい,B先生だからだめ,という細かいことに惑わされず,結果が出てくれば面白い。ある学年しかやらない科目,例えば世界史のように,高校3年間を1年間にまとめてしまうということも可能。1年生は0時間にして,2年で6時間,3年で6時間という提案をしたが,一顧だにされなかった。英語の勉強は間を空けると蒸発してしまう。army methodは短期集中のやり方。朝から晩までずっと勉強して,6か月で日本の新聞を読めるようにする。戦時中だから可能だったこと。「日本語がおかしくなるくらいやらないと,外国語は習得できない。」確かにそうかもしれないが,そこまでやるのは…。

・音読は音声認識効果はあるのか?
背番号2番
第1位 日本の中学校・高等学校における発音指導強化の必要性,現在の指導内容及び指導時間の割合 ← 教師が適切な発音指導をしていない。それが苦手意識につながっているのではないか。自分はまとまった形で発音指導は受けなかったが,教師の発音はとてもよかったのでよい影響を受けたと思う。発音検定の6段階の中で,上から3つ目,ほぼnativeに近いレベルまで到達できるのではないかと考える。
(第2位 日本の小学校における英語の教育体系と効果)
(第3位 日本の小学校・中学校・高等学校における英語パーシャル・イマージョン教育の指導内容とその効果)

・発音はどれくらい重要なのか。発音できないとmotivationが下がるくらいなら,発音なんかできなくてもいいよ,ということもできる。

☆発音に苦手意識を持たせないためには,できるようにすると,どうでもいいとする,の2つがある。人によってmotivationのあり方が違う。用が足せればいい,という人と,美しい方がいい,という人。国際的にみれば,こんなのありか,という発音もある。現実問題として,きちんとした発音に縛る必要はない。外交官でも,国連事務総長でも,仕事ができるんだからそれでいいんだろう。どんな発音でもいいとなると,発音指導をするこちらのmotivationが下がってしまう。一部,発音マニアの方はどうぞ。

背番号22番
第1位 どのような要素が最もfluentなスピーキングと認められることに影響を与えているのか ← アジア圏の人は間が空きながら話すので、nativeに分かってもらえない。アラブ圏の人は会話が流れるので分かってもらえる。正確さは後からでいいのかな。
・nativeにfluentなspeakerと認められたいのか。←万人に伝わる英語を考えている。断片的になってしまうと伝わらない。内容が伝わることが一番。
第2位 スピーキングにおいて,明示的学習と暗示的学習ではどちらがGrammarの自動化(高速化)をより効果的に促すか。
第3位 どのような文法・文構造がスピーキングのfuencyを高めるか。

 

::::次回の課題::::

Topic 1

2011/05/06
Topic 1
〜5文系は英語習得に役立つか〜

いよいよ本格的な頭の体操の始まりです。あまり形式にとらわれず、よく考えるという習慣をつけるよう努力して下さい。

5文型は、本当に英語習得の助けになるのでしょうか。

どのような立場をとっても構いません。自分の立場をサポートしてくれるような証拠を見つけ出せるような研究を考えて下さい。研究を考える上で、研究デザインを作って下さい。

研究デザインとは、自分が知りたいことを知るための仕掛けのことです。自分の知りたいことの性質をよく考えて、そのことを明らかにする仕掛けを考えて下さい。

釣りで言えば、どんな魚を狙うかによって使う道具が違ってきます。

正解はありません。自分がどう考えるか、が重要です。そして、それが正しい考え方であることの証拠を研究によって提出するわけです。

Good luck!