| 2011年度 金曜日 前期 英語教育学リサーチデザインA |
2011.05.13 |
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Graduate Seminar A on TESOL Research
Methodology 2010 |
Topic 1の2回目
The Usefulness of the Five Sentence Patterns in Understanding English Yano, Jun
☆今回は,上記論文を読んで,研究者の骨組み・論理を見る。知ろうとすることがこの仕掛けでしることができるのか。
(来週までに,先週の各自のデザインの書き直しをするということを,頭に入れておくこと。書き直しでもいいし,全く新たに考えてもいい。)
◎論文の目的
内容のわかる文の文型をさらに覚えさせることはおかしいのではないか,という問題意識から出発し,短文の意味理解と5文型を判定する能力は,同じものか違うのかを検証する。扱う文型は,第4文型と第5文型とする。
Research Question 1…文型を判定することと,和訳できることの間に関係があるか。
Research Question 2…文型判定と意味理解は,学習者のレベルにより違いがあるか。
Research Question 3…5文型を教えることは学習者の英語の意味理解に資するか。
◎論文のデザイン
・被験者は,日本人の高校1年生(92名),高専4年生(30名),大学1年生(102名)。
・TIJ test=Translation-into-Japanese test / SPR test= Sentence-Pattern-Recognition test
… 全部で英語の短文Q1〜Q12のうち,第4文型6文,第5文型4文,その他2文について,和訳させ,さらにQ1〜Q12がそれぞれ,選択肢A〜Eの英文のうち,どれと文型が同じか選ばせる。和訳の採点はall or nothingが基本。和訳1点,文型1点,満点24点。
・クロス集計表にまとめて,パーセント,平均値の差,カイ2乗検定を用いて分析。
sentence pattern
0 1
meaning of 0 A B
the sentence 1 C D
POG(ポグ)=Pattern Only Group(クロス集計表のB欄) / MOG(モグ)=Meaning Only Group(クロス集計表のC欄)に着目。
☆この仕掛けで,目的が達せられるか。そこにギャップがあると,この仕掛けでわかるのか,という疑問が生じる。logicが通っていないといけない。
◎論文の結論
☆各Research Questionに対して,答えはYesなのか,Noなのかが一番重要。
・Research Question 1 ← 英語を理解する能力と文型を判定する能力には関連がない。
・Research Question 2 ← 学習者の能力が低ければ意味理解と文型判定には関連がなく,能力が高ければ関連がある。
(☆Research Question 3は,この研究だけでは答えは出ない。)
☆研究者はきちんとYes/No/I don't know.と答えているか。被験者を3種類にしたのは,レベル別。レベルによる違いはあるか,というResearch Questionを立てたのなら,レベルによってこうだ,と答えねばならない。
・学習者のレベルが低いほど,意味理解と文型判定の間には関係がない。(裏を返せば,能力が高ければ関連がある,ということか。)
☆論文は単純に書く方がいい。自分の思うような結果が出なかったら,出ませんでしたとはっきり書きましょう。なぜ出なかったかを考察することが重要。
学習者のレベルが低いほど,意味理解と文型判定の間には関係がない,という結論に至る筋道は論文中に書いてあるか。
・MOGとPOGについて,意味だけ分かっている者の方が格段に多かった,と書いてある。
☆MOGとPOGの差が激しい,ということでResearch Question 1 になぜ答えられるのか説明してあるか?MOGとPOGの数値の差からこういうことが言える,と書いてあるか?
・書いてない!
☆Research Question 2 については,筋道は書いてあるか?
☆理屈が書かれていない。「MOG・POGの差を見れば,こうだ。なぜならば〜だからだ」と書かねばならない。
ここから論文の批判になるが,来週は自分のデザインがこの批判にさらされるということを頭に入れておきましょう。
MOG・POGの差を見て,筆者がどう考えたと,みなさんは考えますか。
・MOGが圧倒的にPOGより多いから,independent だと考えて結論を出した。
・Research Question 1 については,立証が弱いと思う。
・意味が分かった上で,文型も分かればいいのでは。
・研究者は文型はusefulではないと書いている。
☆MOG・POGの差を軸にして,3つのレベルで,パターンがどう変化するか,ということを考えているのが研究者の考え方ではないか。因果関係は実験しないとどうしても出てこない。
・文型がわかっていると,年を経るにつれ意味も分かるようになるのか。意味が分かっていると文型も分かるようになるのか。
「意味も文型も分からない」から,POGを経て「意味も文型もわかる」に至るのか。MOGを経て,なのか。MOG経由よりPOG経由の方が簡単なら,文型を教えた方が学習者の負担が少ないといえないか。
☆POGとはどんな人か?
・偶然,文型だけ当たった人。
☆データに一定の傾向があるときには,何かありそうだという感じはある。
・学習者のレベルが上がると,文型も分かるようになる。
・高校生は,和訳がうまくできなかっただけかもしれない。
・和訳をどう判定したか,例を挙げてもらうといい。
・和訳で理解を測ることが問題?
☆「理解をどう判断するか」。訳させること問題点。書くのがいやだ,という生徒もいるはず。
・こんなに短い英文だと,偶然正解してしまうかもしれない。
☆選択肢を設けるのも,和訳もダメ,となったら,では,どうやって理解を判断するか。
・穴埋めは…。
・問題の質によって,結果は大きく影響されることもある。
・今回は第4,第5を取り上げるといっておきながら,それ以外の文型も含まれている。これは外すべき。
・A〜Eの選択肢を,Q1〜Q12でまとめて1種類ではなく,それぞれ付けてはどうか。
☆「2つのパターンがあるから,2つに分けてくれ」というやり方もあるが,研究者がそれをやらなかった理由は何か?
・被験者がどんな基準で2つに分けるか,わからないから。
☆optimization(最適化)。ある条件の中に,納まらないといけない。土木と同じ。ここに橋を架けるにはどうするかを考える。こういうところなら橋を架けられますではなく。
・選択肢の理解はきちんとできているのか。
☆英文の解釈の方が,OOやOCの区別より先なのは間違いない。解釈ができているなら,OOかOCかは,どうでもいいと言う人もいる。
要素になるかならないかも問題。SVの後ろにいろいろあっても,何者としても扱わない。その他大勢。
5文型が役に立つか立たないか,という問題に対して,扱う文型は第4文型と第5文型で,英文は12個しかない。研究は,問題意識を全部カバーするのは無理だが,第4文型と第5文型だけでいいのか。第1と第2の方がよほど本質的。第4と第5の区別はよほどレベルが高い。
・第2と第3がわからないと,第4と第5もわからない。第4と第5は動詞の後ろに2つの要素がくる難しさがある。
・SとVがわかるだけでもたいへんなこと。
☆SVだけ分かればいい,という研究もありうる。日本語との対比。SVO言語とSOV言語の違い。SVがわかってOがわからないのはなぜか。英語はVをはさんで両側に展開すると教えられるか。英語もSOVと思っている人はどれくらいいるか。
・20人中2〜3人くらいは,授業ではできていてもテストになると,ライティングでSOVの文を作ってしまう。
☆中学3年間,SVOの語順に触れてきているのに,SVOに気づかない。中学校の先生は,何か気づかせてあげるようなことをしますか。
・SVOという言葉は使わないが,語順についての指導はする。
☆外国語の習得は,他人が教えられるものなのか,というのは大問題。instructionは習得のスピードを上げられたりするのか。この子は日本語語順がまだ抜けてないぞ,なんとかせにゃならんとなって,instructionして,それは生徒の習得に活きるのか。
・自分の気づきがなければならないと思う。
☆「今日は,これがSVOCか,と気づきました。」という日は来るのか。
・気づきの繰り返し。
☆学習者はそんなに意識的なものなのか。「今日はこれに気づいた。」「今日はこれこれだ。」なんてことがあるのか。それはfictionではないのか。
・友人に「気づきノート」を作っている人がいる。
☆意識的に努力する人もいるだろうが,他の人はもっといい加減ではないか。教員が必死だと「生徒は真剣だ」というfictionを作ってしまう。自分と正反対の人間はイメージしにくいが,教員は自分と正反対のタイプの生徒も援助しなければならない。違う世界に住む人を外から理解しなければならない。
教育の実証的研究にはそういう意味もある。中学3年間やっても,それまでもデータはことごとくSVOと言っているのに,英語がSVOだと気づかない生徒もいるとしたら。中学校の教科書でVで終わるセンテンスはほとんどない。現在形と過去形が混ざっているレッスンはどれくらいあるか。調べてみるのも面白い。
5文型がなくてどうなるの,という先生もいる。そういう現象に対して,何かデータを提供できないか。 | |
::::次回の課題::::
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Topic 1 |
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2011/05/20
☆来週は,先週の手直しでも,全く違うものでもよい。矢野論文の改作でもよい。自分のリサーチデザインを書きなおしてきて下さい。
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