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2011年度 金曜日 前期 英語教育学リサーチデザインA 2011.06.10

Graduate Seminar A on TESOL Research Methodology 2010
Topic 2 発音カナふりの効用 の3回目  研究デザインの書き直し

No.7 中学生のとき,発音記号は読めないし,読めないと単語覚えられなくてカナをふりました。でも,たとえ「マス」とカナを振ったとしても,mathと読んでいた。なぜ,カナふりが悪いのか。
    初め,カナに頼って発音するが,練習することにより,最初からカナに頼らなかった人と遜色ない発音ができるようになるのではないか。

・なぜ,Bグループからカナのあるものを取り上げて,ないものを渡すのか?
・発音テストのときは,カナなしが普通なので。
・記憶も見たいのか。
・できるなら見たいが,一番見たいのは発音の質。○か×かの判定だけでなく,全く発話できなかったものを区別したくて,0,1,2とした。
・カタカナで発音できてしまうものをなぜ除外するのか。
・発音の質を見たいが,それは難しいので,発音が通じるかどうかで見たい。カナだけで通じてしまう単語で実験しても,A,Bグループで差がつくわけがない。
☆逆に,カナを振ったことにより,音を聞かなくなり,文字に頼ってしまうことがあるかどうかを見たいということ?
・はい!カナを振ったことで,そのレベルで止まってしまう人はいない,と言いたい。
・音を聞く前に,カナだけでした発音も録音しておいてはどうか。その方が差は大きいのでは?
・すでにカナでは通じない語を選んでいるのだから,最初の録音は不要では。
・発音の質を見たいなら,語を選ばずに,最初から30人にカナで発音させて,質の変化を見ることもできる。
☆全部1回で済ませる手はないか。この実験は,カナを振ることにより,学習がストップするかどうか。カナふりグループには,そのままカナを振ったものを与えておいて,録音は1回だけでAグループとBグループの発音を比較するだけではどう?カナふりグループが低ければ,学習がストップしてしまうということ。カナふりグループが高ければ,カナが発音に好影響,例えば選択的集中があるということ。
・1回目はカナふりの方がだめかもしれないが,2回目3回目で,挽回していくのではないか,ということを見たい。練習中はカナふりありで,テストのときはカナなしでやりたい。
・カナありのまま,テストでうまくできた方が,主張の裏付けになるのでは?
☆カナを読んでしまっては通じない単語を選んでいるのだから,カナありでいいのでは?
・忘れてしまった人を区別したい。カナありで練習した人は,カナなしで練習した人と,同じ条件でテストしたときに違いはない,と言いたい。
・補助輪を取ってテストをするのは,ハードルを上げすぎなのでは。
☆学習としては面白い問題。補助輪ありから,なしに行けるか。ありでしか乗れなくなるか。良い学習者は,常に自分で仮説検証をする人。この発音はこうだと暫定的に決められる人。だめな学習者は,この発音はこうだと決めたら,そこから離れられない人。ブラックボックスに10円入れると赤い切符,20円入れると黄色い切符というのを見せ,この箱はどんな箱かと声に出して宣言させてしまうと,その考え方を変えられないという実験がある。mathのthが「ス」なのか「?」なのかと考えないと,学習は進まない。この研究は,一般的に,事の本質として,重大な問題を含んでいる。近似値を与えられてしまうと,それ以上に動けるのか動けないのか。
・「す」と言われたら,ずっと「す」と思うのではないか。
☆聞き分ける耳にもよる。「す」としか聞こえない人と「す」とは違うなあ,と聞き分けられる人の才能の差はある。努力では埋められないところがあるのでは。通じればいい,というところまで行ければいいが。intelligibilityの判断が研究の方法として厳しいのは,。評定者が自分で分かるか分からないか分からなくなる。何人も何人も聞いていると。被験者文の評定者をそろえるのは無理。これはどうしたらいい?
・ダミーの中にちりばめてはどうか?
・判断させるのをコンピューターにしてはどうか。acceptability〜%と出るソフトを見たことがある。
☆問題は,それが信用できるかどうか。音声認識は,いろいろ設定が必要でまだ発達段階。人間の認識能力は素晴らしい。知り合いが横向きで通っても誰かわかる。機械にはこれがとても難しい。カラオケの点数は,ただ声が大きいだけで高かったりする。いろいろな人の発音を,1単語ずつばらばらに評定者に聞かせるというのはいい案かもしれない。こういう評定者をやらされるのは大変だが。
☆このような研究は研究するに値する研究である。

No.8「音変化に効果あり?」 〜説明〜カナふりによって音変化(リンキング)は聞き取れるようになるのか。
・リンキングのところだけカナを振った方が,聞き取りに役立つことがある。カナふりが効果があるのは,聞き取りより発音練習の時ではないか。
・リンキングで困るのは,リスニングの時。
☆発話なのか,聞き取りなのか。What a pity!が「ワラピティ」と聞こえるから分からない…。
・「ワラピティ」とは,このことなのか!と,気づきが生まれて,それが蓄積になるのでは?こうつながっているという気付きを与えたい。
・音変化を目に見えるルールにするために,カナが使えるのでは。
☆fとhの発音を分けない人が,年齢によってはいる。若い人ほどできてしまっている。英語の影響。
☆「聞き取る勘が良い」というときの,「勘」とは何か?勘とか才能とかの正体は?音楽ができる人は発音がいいというのは,ある程度の相関はあるらしいが。

No.28「イナナウァー」〜説明〜
・全員に強制して全文にカナを振らせるというが,そもそもカナを振るのが結構難しい。
・大学1年生6人に昨日やってもらったら,振り方はいろいろだが,けっこうできていた。英語力がなさそうでもけっこうできていた。
☆意味を分かってしまった方がふれないのかも。つまり,英語ができない方がふれるのかも。意味が分かってしまうと音がどうなっているかわからない。母語を話すとき,どんな音として聞こえているかわからない。外国人が日本語をまねるとき,どうまねるか。
・朝鮮語と比べると日本語は抑揚がない。
☆よく外国人が言うのは,日本語は機関銃のようと。
☆移民がハワイに行って,英語が全く分からず,電車降りるとき「揚げ豆腐」は間違いなく通じる。「掘った芋いじるな」はわからないが。「ワラ」=what a は,他の表現にも応用が利くのかということは調べてみてもいい。
・Could you / Would you (のリンキング)は応用が利く。
☆リンキングのルールで,応用のきくものはあるか。

No.29「Assimilationはもはや敵ではない」
・control groupは,特定箇所を強調しないのはなぜ?experiment groupと同様に注意だけはしておいた方がいいのでは?
・ふつうにロールプレイの練習だけしたcontrol groupと,カナを与えたexperiment groupとを見たかった。
・そうすると,カナだけでなく,注目させたことの効果も含まれてしまうのではないか。
・目標としてロールプレイは必要ですか?ロールプレイしているうちに,忘れてしまってはだめということ?
・assimilationをうまくやることが,ロールプレイもうまくできることにつながると考えた。
・練習したあと,録音しては?
・メインの目的は,聞き取りがどうなるか。
・本当にassimilationがその学習者の「敵」なのかどうか,そのために聞き取りができていないのかどうかを確認する必要があるのでは?
・実験対象から外れる生徒に配慮する必要もあるのでは。
・手順0のリスニングテストは,ディクテーションにして,次の手順1にそろえた方が英語力の影響は排除できる。テストする文は,リンキングは同じで,表現は変えた方がいい。
・assimilationのパターンが一つだけなので,そこに注目してしまった被験者はとてもできてしまったりするかもしれない。いろんなタイプのリンキングを混ぜた方がいいのでは。
・リンキングは無限の可能性があり,今回はpalatalizationに絞った。
・中学生の教科書でリンキングの候補を決めて,教えて,それが高校生になったとき,どうなったか見るのはどうか。

No.3 「自己流 vs Vista System」〜説明〜
・人工語を使うのはなぜですか。
・知っている単語を含めたくないため。絶対知らない単語にしたかった。
・その人工語の発音があまり英語らしくないのは,馴染みがないものにしたいため?←はい。
・大学生は発音のシステムがわかってしまっているので,それが影響してしまうのではないか。実際,中学生のカナを振らせたら,そんなに抵抗はなかった。
・小菅論文に対抗するなら中学生にそろえた方がいい。小菅論文と違うのは,カナを振らせる,というところだけ?←はい。
・両グループをそろえるために,どうしても「書く」という手順を入れざるを得なかった。予想は自己流の方が上だと思う。「ヴ」と振って「b」と読むか「v」と読むか自分流に決めている人がいるかなと。

::::次回の課題::::

Topic 1

次回 2011/06/17
Topic3 〜スピーキング力の評価〜
 
最近の英語教育では,スピーキング,ライティングといった表現力(productionの能力)の育成が以前より強調されるようになってきました。それにともなって,こうした能力を評価するニーズが高まっています。

 ある人はいくつもの観点に分けて細かく評価するのが良いと言い,ある人は細かく分けることによって,かえってわけがわからなくなって,正確な評価ができなくなると主張します。また,観点に分けたりせず,ザックリと印象評価するのが結局のところ現実的であり,正しくもあるのだと考える人もいます。

 今回は,評価対象は中学生ということにしましょう。中学生のスピーキング力を評価する方法でプレが少なく,なるべく手間のかからない方法を決めるための情報を,提供してくれる研究を企画してみてください。

 仕掛けは,具体的でなければなりません。具体的なリサーチ・デザインを描くにはA41枚では無理でしょう。キチッと詳しく書いてみてください。と言ってもページ数の勝負ではありません。無駄に細かい計画が良いわけではありません。念のため。


Good luck!