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2012年度 金曜日 前期 英語教育学研究法A 2012.07.06
Research Design 5
Think in English.
 英語で考えているかどうかわかる?

 □今回の課題

 ●頭の中で英語を介しているかどうかを測る方法を考えてくる。



 □取り上げた人の意見と,それに対する反応


 ■17番の方のResearch Design
 ・英語を聞いた時に英語で考えているとは限らない場合があり,それが「超高速トランスレーター」である。そういう人が存在すると仮定すると,その人を炙り出す必要があるのではないか。
 ・違いの見方として,代名詞を適切に使えているか,andやbutの接続詞が頻繁に使われているかなどを,スピーキングのテスト(4コマを説明してもらう)で見てみる。タイムプレッシャーあり。

 ◯意見など
 ・発話するまでの時間だけではなく,語数等を確認する必要もあるのではないか。
 ・タイムプレッシャーを与えたところで,それがThink in Englishを明確にするとは限らないのではないか。
 ・それならば言い直したところを比較に使ってはどうか。
 ・4コマを見ていると,主語を落として4コマの説明を続けてしまうのではないだろうか。

 ◇金谷先生のお言葉
 ・主語を落としてしまうことに関しては,これはネイティブもやるだろうと思われる。
 ・スピードを測ることも良いが,特に個人内の差を明確にしておかなければいけない。
 ・また,超高速トランスレーターはいたであろう。なぜならば,明治時代には音声を保存する技術もなかったので,一瞬で理解して書き取ったりしなければいけなかったからだ。
 ・日本語を介しているかどうかを区分けしてしまうのは間違いで,あるときには英語で考え,あるときには日本語で考えている可能性を考慮すると,これらのグループは混在しているのが実情ではないだろうか。



 ■14番の方のResearch Design
 ・英文を聞いて,直後に日本語訳し,更にそのあとで英文を思い出させるとき,日本語の影響が出て,英語に直した時に引っ張られてしまうのではないだろうか。

 ◯意見など
 ・うっかりミスの可能性もある。
 ・記憶力のある人は英文を覚えているだろう。記憶力のない人にとっては日本語に頼らざるを得ない状況だが,それによって出たものが間違っていても,それは単なる知識の問題なのではないだろうか。

 ◇金谷先生のお言葉
 ・何人かの教師にラウドスピーカーをやらせたところ,began drinkingと言う音声を聞いても,began to drinkと発音してしまっている人が多数いた。L2を学習していたときの弊害と考えると,Think in Englishの範疇ではないのかもしれない。



 ■6番の方のResearch Design
 ・先ほどの「超高速トランスレーター」がいると仮定した時,その人はランダムで日本語と英語を聞くと,英語を聞いた時に若干遅くなってしまうのではないだろうか。

 ◯意見など
 ・なぜランダムだと遅くなるのか。
 ・スイッチングとThink in Englishは一緒にしてもよいのか。
 ・このようにランダムもいいが,負荷や条件をつけると「超高速トランスレーター」のボロが出るのであれば,それは研究に値するのかもしれない。



 ■23番の方のResearch Design
 ・コロケーションテストを行うのはどうか。例えば"You had better take the next train."を「あなたは次の電車をとったほうがよい」と訳してしまうように,ズレが出てしまうものが日本語の影響であれば,Think in Englishを証明できるのではないだろうか。

 ◯意見など
 ・タイムプレッシャーを与えたところで,これは結局コロケーションの知識を測るものなのではないだろうか。
 ・これらを解答する際に使われる日本語は「判断のための日本語」であり,Think in Englishには関わらないのではないだろうか。大事なのは「オンラインで英語で考えていること」なのではないだろうか。

 ◇金谷先生のお言葉
 ・確かにこの実験だと,L1のtransferにしか焦点をおいていない。
 ・「オンライン」という言葉はとても重要で,その瞬間に英語で考えているかどうかを測ってほしい。いわゆる「現行犯逮捕」をして欲しい。



 ■5番の方のResearch Design
 ・否定疑問文に対する反応速度を測って見てはどうだろうか。

 ◯意見など
 ・実際にネイティブに聞いてみたところ,これはネイティブでも難しいらしい。

 ◇金谷先生のお言葉
 ・ネイティブとの比較も良いが,まずはネイティブがどこまで出来るのかという「指標」を決めることが大事である。
 ・例えばだが,Yesと言いながら首を横にふるということは,ネイティブの中でも分かれており,する人としない人に分かれるらしい。



 ■8番の方のResearch Design
 ・英語の熟達学習者は,L2に直接アクセスできるので,L1を介さない分,L2に対する反応速度が優るのではないだろうか。
 ・例えば人造語を作り,それがL1で表現しづらい単語であれば,L1を介することなくL2そのものの概念へ直接アクセスしていることになるのではないだろうか。

 ◯意見など
 ・L1で表せない語というのは定義が難しい。学習者はどうしてもL1で解釈しようとするので,自分でL1の概念を作り上げてしまうのではないだろうか。
 ・「L1を通していると処理速度が遅い」ということが分かったところで,Think in Englishとの関連性はないのではないだろか。
 ・もし人造語を作るとすれば名詞のほうが良いと思う。

 ◇金谷先生のお言葉
 ・L1の概念がないような語があったとすると,まずはそれの理解に苦しみ,Think in Englishの話にもっていけない。
 ・問題は「形式」と「意味」の関係の中にある。
 ・L1を通してL2を理解しようとしている人は,その「意味」に着目し,得たL2の「形式(form)」を忘れてしまう。つまり,その形式ごと思い出せるということが,「英語で考えている」証拠になる。英語で考えている人は,その意味を理解すると同時に形式も覚えているからだ。形式と意味はその人にとって表裏一体なのだ。



 ■15番の方のResearch Design
 ・英語に単数と複数の違いが存在するので,それを使って英語で考えていることを証明できないだろうか。
 ・例えばゴキブリがいた時に,ネイティブが"Cockroaches!"と叫ぶのか"A cockroach!"と叫ぶのかは議論されるべき疑問である。
 ・リスニングで"In a classroom, a student/students found a cockroach/cockroaches under the desk."と問い,適切な絵を選んでもらうのはどうだろうか。

 ◯意見など
 ・リスニングだと聞き逃す恐れがある。特に冠詞等は聞き取りづらく,それが影響してしまう可能性もある。
 ・実は中国人の研究者がこれを現在研究中で,やはりネイティブだと聴きとった文によって絵の選択を変えるようであった。中国人はどの英文を聞いても大差がないと感じていたらしい。

 ◇金谷先生のお言葉
 ・やはり大事なのは,「ネイティブはどこまで出来るのか」というところである。彼らがどのように反応するかがまずは分かっていないと話は進められないからだ。
 ・ただ,単数と複数によって明らかにネイティブと英語学習者の間に概念の差があれば,ネイティブのように数に対する概念のある学習者のほうが,英語で考えていることになるだろう。
 ・このように,英語とその学習者の間に大きなギャップのある分野(ここでは単数と複数)を扱えば,英語でかんがえているかどうかを測る1つの手段になりうるだろう。



                              ::::次回の課題::::

Reserch Design 6

2012/07/13

 □次回のお題は…

 態度は測れるか

です。

学習指導要領では「積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成する」ことになっています。
この「態度」は育成されたかどうかをどうやって確認するのでしょうか。もともと確認できるのでしょうか。確認できるとしたらどのくらいできるのでしょうか。

ペーパーテスト,授業観察でしょうか。生徒同士の評価,生徒個人の評価は有望でしょうか。

まずは「コミュニケーションへの態度」とは何なのでしょう。まずは定義しないと先に進めませんね。

定義できたら,態度測定の方法を考えて見て下さい。測定できないという立場にたってそれを証明しても構いません。出来るという立場の人は具体的に方法を提示した上で,どの程度その方法で態度が測れるのかを証明するデザインを作ってみてください。


Good Luck!