1.はじめに
物質量という物理量は、問題としている物質を構成している要素粒子(elementary
entities)の数に比例する(その要素粒子は、必ず化学式を用いて特定しておく)。この比例定数は、アボガドロ定数NA(6.022×1023mol−1)の逆数である。このアボガドロ定数NAを実験により求める。
アボガドロ定数を求める方法はいくつかあるが、今回は、現在求められているアボガドロ定数を求めたときと同じ方法である、密度と格子定数から求める方法で行う。
密度ρは、質量(M)を体積(V)で除すれば求まる。
ρ=M/V
ここで、1モル※について考えると、1モルあたりの体積をVmとすると、
ρ=M/Vm (Mは文献値を用いる)
1モルあたりの体積は、粒子1個が占める体積(υ)とアボガドロ定数(NA)との積であらわせるので、
ρ=M/υ・NA
したがって、アボガドロ定数NAは以下のように表せる。
NA=Mm/ρ・υ
粒子1個が占める体積υは、格子定数aから求まる。
よって、密度ρ、格子定数aを求めればアボガドロ定数を求めることができる。
密度の求め方はいくつかあるが(各自調べてみてください)、今回は、アルキメデス法で行う。
格子定数aから立方晶の場合、υはa3/n(nは単位格子に含まれる粒子数)で表せる。
※ SI基本単位の定義:0.012kgの炭素−12に含まれる炭素原子と同数の単位粒子を含む系の物質の量を1モルとする。
★実験までに以下の事項を学習しておいて下さい。
・ Braggの式・格子定数・Miller指数・構造因子・指数づけ(アトキンス物理化学
参照)
・ 比重瓶の使い方
2.実験方法
T.密度を求める
@ 恒温槽を25℃に調整する。
A 比重瓶に蒸留水を満たし、中栓と別々に恒温槽に浸す。
B 15分後に取り出し、中栓をつけてから比重瓶についた蒸留水をふき取り、秤量する。(→W1[g])
C 比重瓶の中の水を捨て、室温に戻す。
D アルミニウムの重さを測定する。(→W2[g])
E DのアルミニウムをCの比重瓶に入れ、A、Bの操作を行う。
(→W3[g])
F これらの結果をもとに、密度を求める。
W1/g W2/g W3/g ?
よってアルミニウムの密度ρAlは、25℃での水の密度ρWを用いて以下のように表せる。
密度ρAl=
ρW= g/cm3
以上の操作を3回以上繰り返し、平均値を求め、アルミニウムの密度とする。
★ 信頼区間について
99%信頼区間(測定値の確かさ)
測定値がどれだけ信頼たるに値するものかを示す。
―x±t値(φα){Σ(―x−xi)2/n(n−1)}1/2 ・・・@
α:有意水準 φ:自由度(n‐1) ・・・ 別紙参照
平均値―x=Σxi/n i=1,2,・・・
A B C D
1 1回目 2回目 3回目
2 W1/g
3 W2/g
4 W3/g
5
6 密度ρ
※ 平均値―xの求め方+
セルに以下のように入力する
=AVERAGE(B6:D6)
…"E2からE4の値の平均値を求めよ"という命令
※偏差の平方和 Σ(―x−xi)2 の求め方
セルに以下のように入力する
=DEVSQ(B6:D6) ←A
…"E2からE4の値の偏差の平方和を求めよ"という命令
※ @式の波線部の求め方
セルに以下のように入力する
=SQRT(A/(n(n−1)))
…"( )にルートをかけよ"という命令
密度の平均値 g cm‐3
99%信頼区間