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研究科長挨拶東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科長 関口貴裕
本研究科は2026年に設置から30年を迎え,これまでに約500名の博士号取得者を輩出してきました。その多くが,全国の大学等において教育・研究に携わり,現代的課題に応じた教育の理論化と実践の高度化に貢献しています。さらに,初期の修了者の中には,各分野を牽引する研究者や大学運営の中枢で活躍する人も少なくありません。こうした実績は,本研究科が担ってきた「教員養成の充実と学校教育の発展を担う人材の育成」という使命が着実に実現されてきたことを示しています。今後も,研究環境と指導体制の一層の充実を図りながら,高度な専門性と実践的視野を併せ持つ教育研究者の育成に努めてまいります。 本研究科では,「〈広域科学としての教科教育学〉の創造と発展」を教育・研究の理念として掲げています。これは,教科の基盤となる学問的知識(教科専門),教育の内容と方法(教科教育),そして教育の仕組みや人間の発達・心理(教育科学)に関する諸学問の視点を統合した研究と人材育成により,学校や社会の諸課題に応えることを目指すものです。この理念は,本研究科の組織構成や研究指導体制,カリキュラムを貫く考えとして,設置以来大切にされてきました。近年,教育の世界では,従来の枠組みでは捉えきれない課題がさまざまに顕在化しています。こうした状況のもと,異なる領域の知見を統合し,理論と実践の両面から教育を捉え直す〈広域科学としての教科教育学〉は,その重要性を一層高めています。本研究科の学生には,この理念が持つ複眼的な視野をぜひ大切にしながら,自らの研究課題に向き合っていただきたいと考えます。 一方で,本研究科が設置された30年前に比べ,学問の姿は大きく様変わりしています。いずれの分野も国際化が進展し,文理を超えた学際的研究が大きな成果を上げています。そして,AIをはじめとした情報技術の発展が,研究の進め方や学問の根底をなす考えにパラダイムシフトを引き起こそうとしています。本研究科の学生には,そうした学問の変化の潮流を的確に捉え,世界の研究コミュニティの一員としての自覚と,教科教育学の在り方を俯瞰し,変革していく視点をもって,自らの研究を発展させていくことを期待しています。 以上を踏まえ,本研究科の学生には,守るべきものを大切にしながらも,変化に積極的かつ柔軟に対応する姿勢を,博士課程での学びの中で培っていただきたいと考えています。そして,目線を高く持ちつつ,地に足のついた研究を粘り強く実践することで,日本と世界の教育の発展に主体的に貢献する人材へと成長されることを,心より願っております。
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