テーマ設定の経緯
本研究科は、「広域科学としての教科教育学」の創造・発展を目指し、教育科学のアプローチや教科の基礎となる専門諸科学の見識を参照しながら、教科教育学における課題を解決していくことが求められている。こういった認識に立脚すれば、教育に関するあらゆる社会問題に対して、多角的な見解を学術的に論述していくことも、本研究科に所属する者としての重要な資質である。そこで、本年度の合同ゼミナールにおけるワークショップでは、具体的な教育諸問題に関して、ディベート形式のワークショップ、すなわち、個人的な見解を排除した状態で、その課題の争点を焦点化するとともに、それぞれの立場を見越した上で、自らの置かれた立場に基づき説得的に見解を論述する機会を構想したのである。
確かに、例年のように、いわゆるワークショップ形式、すなわち、基調提案をもとに議論する形態で、「広域科学としての教科教育学に携わる私たちの展望と課題」や「教育実践と研究」について議論することによって、本研究科設置の意義を理解していくことも重要である。あるいは昨年のように「博士論文執筆経験談に基づく学問的座談会」によって、より具体的な博士論文執筆における我々の置かれた立場を再認識していくことにも意味はある。しかし、前者のように大上段に構えたテーマは抽象的すぎて深化に欠け、後者は基調提言が経験談という性格上、研究生活の相談に終始する傾向にあるという反省があったため、今年度は、敢えてこれまでのワークショップの形式を一新し、ディベート形式でのワークショップを提案したのである。 |