平成22年度東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科
合同ゼミナールについて
ワークショップにおけるディベートの内容と今後の課題
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合同ゼミナール運営委員長 本蔵 達矢(教育方法論講座) |
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ディベートを企画した理由
本年度のワークショップは昨年度と同じくディベートを行った。ディベートは決められた立場で論理的に発言する能力が必要であり,将来研究者となる我々にとって最適なトレーニングであること,そして,ディベートを通して多岐の研究領域にわたる学生間の交流を深めるきっかけとなることを期待したためである。 |
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実施方法
■テーマの設定
昨年度,ディベートグループの人数が多かったため一言も発言することができなかったといったいくつかの反省と,開催場所における制約を考慮し,今年度のテーマの数は5つとした。
その後,現在教育現場で注目されていることから,①教員養成は4年制か6年制か,②小学校~高等学校まで義務教育とすべきか,③「英語のイマージョン教育」を進める「教育特区」の学校の是非—A校を事例に—,④中学生に避妊を教えるかどうか,⑤普通学級での障害児の受け入れを進めるべきか,の5つのテーマを提案した。また,ワークショップの内容を決める際,ディベートの必要性について議論が起こったため,メタ的な視点でディベートを見つめなおそうという試みで『⑥ディベートに「教育的効果」はあるか』を追加した。これら6つのテーマから参加学生全員に希望テーマ(第1希望,第2希望)を尋ねた。
その結果,②小学校~高等学校まで義務教育とすべきか,の第1希望者が極端に少なかったため,このテーマを除外した5つのテーマに決定した。
■事前準備
各テーマの座長を中心にテーマ説明の資料を作成し,その資料を参加者全員に配布して,希望テーマを尋ねた。その後,各参加者の参加希望テーマを基に,それぞれのテーマと肯定側,否定側に無作為に割り当てた。その際,学生間の交流となることを期待し,それぞれのチームの中で学年が偏らないように考慮した。また,これらを参加者に通知する際,自分が割り振られた主張(賛成・反対)を理論づけるような資料を当日持参するよう各参加者に依頼した。
■当日の流れ ディベートはそれぞれのグループで,①顔合わせ・座長説明(5分),②作戦タイム(15分),③肯定側主張(7分),④否定側質疑(準備1分・質疑2分),⑤否定側主張(7分),⑥肯定側質疑(準備1分・質疑2分),⑦作戦タイム(5分),⑧肯定側反駁(5分),⑨否定側反駁(5分),⑩投票(3分),⑪講評(5分),⑫フリートーク(7分),の順序で行った。その後,各グループの座長がディベートの内容や投票の結果や講評について報告した。昨年度との変更点は,テーマ数の増加に伴い報告の時間が増えたこと,ディベートにおいて準備の時間を明確にしたことである。 |
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今後の課題と展望 今回のワークショップにおける目標はある程度達成できたと考えている。しかしながら,時間の制約が大きく,形式的になりがちで充実した議論になりにくかったことは反省のひとつといえる。ディベートの参加者に残り時間を明確に示す工夫が無かったことと,事前連絡が遅れたために混乱を与えたことについては運営側の反省として来年度に確実に伝えていく。
来年度はこれらの課題を解決し,より意義のあるワークショップの内容を企画していきながら,合同ゼミナールがより一層発展することを望む。 |
平成22年度の日程について