行事

過去の合同ゼミナール

平成23年度東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科
合同ゼミナールについて

ワークショップの趣旨と課題

 

発達支援講座  池田 吉史



 本年度ワークショップを企画した経緯

 平成18年度より昨年度まで,ワークショップではディベートが企画されていた。その背景には,第1回合同ゼミナールより採られていた形式、つまり共通テーマに基づいてグループディスカッションを行うという形式では、テーマの根源性に比べて、時間の制約と前準備の少なさが響き、議論が薄く終わる傾向があったという反省と、ディベートは、割り振られた立場で論理的に主張し相手を説得するという、研究者として必須である論理的な思考を培うという期待があった。
 今年度の運営委員会では、このようなディベートの利点を認識しながらも、講座や専門を抱え込む共通テーマを設定することの難しさと、弁論術ばかりに焦点が当てられ、テーマの追究が軽視されやすいという懸念が指摘され、方法を大きく変える必要性が共有された。
 ここで運営委員会が特に重視したのは、合同ゼミナールが「交流の場」であるということである。本研究科では、4つの構成大学という物理的な障壁と9つの講座という専門的な障壁に隔てられ、学生同士が交流する機会はきわめて少ない。しかし、このような障壁を乗り越えて交流することで得られるものは大きいはずである。とりわけ、これらの障壁を結ぶ「教育」という視点から研究を見つめなおし、発展させることができるのではないか。そうした思いから、多様な専門性が混在する本研究科で研究を進めることの意義について改めて確認しようというのが、今回のワークショップ企画の背景である。



 実施方法

 上述の経緯を受けて、以下のようなワークショップを企画した。

①メインテーマ
 「連合学校教育学研究科で研究する意義とは」

②サブテーマ
 限られた時間での議論を円滑にするため、サブテーマを用意した。参加者にはこれらを事前に与え、ワークシートに考えを記入してもらった。サブテーマは以下の6つである。「連合大学院で研究することの自分にとっての意義は何か」、「大学間・講座間・講座内での連携や共同研究を進めるために必要なことは何か」、「連合大学院で獲得できる教員養成資質とは」、「連合大学院で養成される研究者像とは」、「本学・本研究科が教育の発展に果たすべき役割とは」、「学校現場とのつながりをどのように確保するか」。

 ワークショップの流れは、以下の通りである。

①本研究科の概要説明
 専任教員である鎌田先生にお願いし、本研究科の趣旨および目的を確認した。

②グループディスカッション
 多様な専門性を持つ仲間との意見交換を期待し、講座が入り混じった6グループ(1グループ7~8名程度)を作成した。議論を円滑に進めるため、各グループの運営委員から一人をファシリテータとして任命した。

③報告会
 グループごとのファシリテータが、議論でまとまった意見を発表し、全体共有した。



 成果と今後の課題
 今年度は新しい取り組みであったが、全体として議論が薄く終わる傾向があったことは否めない。その理由として、大きく2つ考えられる。一つは、テーマが広すぎたことである。サブテーマを設けたことで討論の観点を与えることができたと思うが、6つあることで逆に混乱を与えてしまったようだ。講座間の連携などに焦点をしぼっても良かったのかもしれない。もう一つは、討論の進め方である。今回は、委員長として有効な討論の進め方について、ファシリテータに伝えることができなかった。交流が合同ゼミナール全体としての目的の一つであることを踏まえると、より雑談めいた自由な議論の場にすることも有用かもしれない。今後は、このような工夫を講じることで、より活発な議論が展開されることを願っている。
 総じてみれば、今回のワークショップを通して、本研究科で研究することの意義について十分に議論できたとは言えないだろう。しかし、その意義について考える契機をもたらすことはできたのではないだろうか。今後は、さらに議論を深めていけるようないわば「間接的な交流の場」を整えていく必要があるだろう。

平成23年度の日程について


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