発達支援講座 中 知華穂
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1 本年度ワークショップ企画について
本年度の合同ゼミナールのテーマは「対話による新たな視点の創造」であった。ワークショップの企画にあたっては、このテーマに沿い学生や先生方と多くの議論の中で、自己の研究に関する新たな着眼点を発見できたらという願いを込めた。そのため今回は、グループディスカッションの形式をとり多くの対話ができるように企画した。
グループディスカッションのテーマの設定にあたっては、2つの点に留意した。1点目は、様々な研究分野の者であっても比較的、共有しやすいテーマになるよう工夫した。2点目は、具体的なテーマにしすぎることなく、各ディスカッションの中でテーマの意味づけができるようなテーマを設定したことである。実行委員会が設定したテーマから参加者が事前にテーマを選択できるように することで、テーマに関して事前準備が可能となり、それぞれの参加者の考えを共有することができるようにした。ディスカッションの結果は、ホワイトボードにまとめて示し、より多くの参加者と共有できるようにした。
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2 実施方法
実行員会で事前に設定した複数のテーマから、話し合いたいテーマについて参加者に希望をとった。希望調査の結果を集計し、各グループ4名程度の人数になるようグループ分けを行った。その際、様々な立場から意見がでるよう、講座、学年がなるべく異なるようなグループになるよう考慮した。
当日のワークショップは、以下の流れで実施した。
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全体でのグループディスカッションの説明後、各グループにわかれてディスカッションを開始した。各グループには1~2人実行委員が入り司会を行った。また、先生方にも各グループ1名ずつ参加していただいた。1時間程度のディスカッションを行い、各グループで議論した内容をホワイトボードにまとめた。その後、1時間を使いまとめたホワイトボードを基に、ポスターセッション形式で、グループで話し合った内容や結果等を他のグループの参加者に伝え合った。発表会の場面では、内容を伝えるだけでなく、意見交換や質疑応答が多く見られた。
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3 成果と今後の課題
今回行ったグループディスカッションを通して、合同ゼミナール全体のテーマの一部である「対話」そして「新たな視点の創造」この2点が成果としてあげられたのではないかと感じる。
まず、「対話」である。ディスカッションの最初では
各テーマから考えられる個々の意見を出す様子があったが、徐々に個々の意見に対する質問や、新たな考え方が出てきていた。ディスカッションが終わりに近づくあたりは、特にどのグループも活発に議論が行われており、発表の時間の直前まで話し合いが行われる姿があった。
次に、「新たな視点の創造」である。これは、特にポスター形式による発表の場面で多く見られたと感じる。発表場面での質疑応答の中で、以下のような言葉をよく耳にした。「~な意見はでてこなかったの?私は、~みたいな考えがあるのかと思ったんだけど。」この言葉は、テーマに対する新たな見方を表すものではないかと考えられた。この言葉に対し少し驚いたような、また、深くうなずく参加者の中にテーマに対する新たな視点が生まれたのではないかと感じられた。
参加者からの声として、「ディスカッションのテーマが抽象的すぎること」や、「発表時間が長い」といった意見がでた。この点は、今後の課題として改善していく必要があるだろう。しかしながら、大部分の参加者から、様々な立場、分野の人と話をすることができ充実した時間であったという声をきくことができた。このことから、今回のグループディスカッションのねらいが、一定程度達成されたのではないかと考えられる。
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