Jane L. Williams客員教授講演会

(1)プロフィール
 1948年生まれで、現テネシー州立大学教授であり、米国ジョージピボディ教育大学(歴史学)卒業後、同教育大学大学院(修士号 地理学)、イーストテネシー州立大学大学院・教育行政と教育支援学部から「テネシー州の公立学校制度下における教員評価システムの類型と内容に関する分析」で教育学博士号を取得。その後の職歴は、米国イーストテネシー教育コンソーシアムの副責任者・責任者代理、イーストテネシー州立大学の開発研究副責任者、テネシー州教育局の「教師教育と免許」事務所長の後、1982年にミドルテネシー州立大学の助教授、準教授を経て現職となっている。ミドルテネシー州立大学では、「教職としての教育」「教育実習」(以上学部)、「高等教育におけるカリキュラム開発」(以上大学院)等を担当し、専門実習事業の責任者、その他250-300人の教育実習生指導、教育実習生を指導する協力教員の指導、教職員職能開発学校のアクティビティを担当しており、教育行政と教員養成・現職研修に直接的に関わった経歴を持っている。

(2)講演概要

  1. 演題:「アメリカの教員養成プログラムの事例研究」

    これは、2002年1月26日の公開シンポジウム「これからの学校教育と教員養成カリキュラム」の中で特別講演として行われた。通訳は大東文化大学教授の冨田祐一氏。
     この講演は、ミドルテネシー州立大学における教員養成カリキュラムからの事例研究としてのもので、まず同大学での教員養成カリキュラム(科目履修・単位や期間)等についての説明とともに、取得可能な免許種類の説明がなされた。その後、教育実習が、大学のプログラムで実施されながらも、教育実習生と大学教員と協力教員(実習校の指導教員)との合議で、適宜変更、修正されていくことが紹介された。なかでも、教育実習が15週間で2種類の学校で行われること、各中間の教育実習期間では、現職教員とほとんど同じ職務を果たすことが期待されていること等の興味深い報告を聞くことができた。

  2. 演題:「教師教育プログラムとその実際」

    これは、同年2月22日に本部事務棟の3階の第1会議室で行われた特別講演会のものである。当日は、デビット・ラバレー氏の「アメリカの教育学部問題」の理論的講演とセットで行われ、ジェイン・ウイリアムズ氏はそれとの関連で具体的内容を事例研究として講演した。通訳は、大東文化大学教授の冨田祐一氏であった。

    講演は、米国における教員免許制度や教師教育プログラムは州毎の対応が基本であることを前提とした後に、教員免許取得システム、学部の教育カリキュラム構成と教職関連科目、現職教育システムと大学の役割を主な柱としてなされた(通訳時間を含めて約1時間半)。教員免許制度に関しては、各州での免許規準に基づき採用し、教員1年目は仮採用期間を設けるとともに、5年ないしは10年間で免許更新が必要とされ、その更新にあたっては講習等への参加によるポイント獲得による更新制(テネシー州の場合90ポイント)であることを1つの特徴としてあげていた。その講習にあたっては、テネシー州立大学スタッフが講師等となり大学が深く関わっているという。大学が現職教育にどのように関わるかという点で興味深い講演であった。