第4回研究会は、1月29日の午後に開催されました。今回は、田中喜美先生による「米国の技術教育と教科書事情」の報告をもとに、特に、技術・技能関連の教科の教科書について、情報交換、意見交換をおこないました。
参加者は、学部教員7名、院生等9名の計16名でした。本報告の後半にある外国教科書データベースづくりにあたっては、院生による資料整理の勢いに、驚かされたりもした会でした。
さて、田中先生は、主に「普通教育としての技術教育の歴史」について、手工科、工芸科、産業科、技術科と、内容や性格、位置づけが変わってきていること、その特徴・特質そして可能性と課題について話題提供してくれました。
意外と、普段では話せないできているように感じますが、今回のような、一定の関連ある教科毎の話し合い、意見交換はとても有意義だと感じます。
さて、この日の討論の概要を記しておきます。
意見交換では、次のようなことが話題となりました。
○工芸科は美術科(芸術科)に含めて考える場合もあるが、その場合の考え方や、テクノロジー・キャリヤーエデュケーションとの違いが話題の一つとなりました。
○「つくる」という場面がなくなってきている。米国では「使えるものを作る」ということが顕著に少なくなっているのではないか。
○「つくる」ということは、技術に限らず、音楽科や美術科でもそういう傾向がある。それは、一つの今日的課題ではないか。
○かつて、職業家庭科の当時は、職業指導領域が入っていたが、それが、特別活動領域に編成がえされてしまった。そのことにより、現在の技術家庭科では、職業指導に触れづらくなっているということが指摘されました。
○日本の小学校では、図画工作科となっているが、美術科と技術科、さらには理科との関係、あり方が問われてくるのではないか。たとえば、デザインは製図でも下書き・描画でもあるので。
また、現在進行中の外国教科書のデータベースづくりについても、田中研究室の米国の教科書を入力作業での反省・配慮してきた点をもとに話し合いました。以下は、その整理です。今後の入力時にご配慮いただけると幸いです。
そこでは、「所蔵本が3版であったとしても、できれば初版、二版の出版年は備考に記入し、歴史研究できるようにする」「学習者用と、教師用、資料等がセットとかシリーズになっていればそれがわかるような工夫をする(備考欄に記入とか)」というようにして、研究的にも利用しやすくしようということを話し合いました。
現在、10研究室の先生方のご協力をいただいています。今年度末に、その研究室の外国教科書の目録を、冊子体とCD版で作成・完成する予定です。